レポート:IPv6 移行への鍵は何か?
クラスではインターネットの構造からはじめて、その限界、新しいプロトコルへの移行のことについて話しました。
IPv6 の話は出はじめてから長いのに、なかなかユーザの手元で一般化するまでに至っていません。
それを牽引する鍵はなんでしょうか?うまく進まないとしたら、それは何が主たる制約要因でしょうか?
講師から
クラスの最後に「IPv6 は創造性のためにある」という記事を紹介しました。
基本的に講師はこの意見に同感です。
つまり IPv6 への移行には、多くのそうするべき理由、多くのそうできない制約事項が見つかるでしょうが、
逐一それに引っ張られていては、まだ途上にあるプロトコルが歪んでしまいます。
まっすぐ、自分たちが新しいプロトコルでどういう生活がしたいか、そこでどうハッピーになるか、ということを
想像し、現実のものとする作業を積み重ねていくのが良い、と考えています。
メディアは様々な事を報道するかもしれませんが、こうした夢や創造のことはむしろ報道されない傾向にあります。
受講生はまさにこうした IPv6 による新しい生活をデザインする立場にあります。
自分たちが重要なバランスの担い手なのだ、という当事者感覚を忘れずにいてくれることを望みます。
受講生からの回答
全文、原文のままですので、誤字や途中になっているものなど多くあります。
-
コストの問題や、移行するに当たっての手間。アメリカ人の考え方が変わらない限り無理。
IP アドレスを使っているユーザ全てがIPアドレスが不足しているという事を痛烈に実感した時、移行が現実となるのではないか?勿論その時では手遅れだが。
講師からのコメント:
様々な意見があって良いと思いますのでそのまま掲載します。有る程度間違っては居ないと思います。
が、自分が当事者として何が出来るのか、また、逆に関わらざるを得ない立場にある、という認識もバランスウェイトとして持っておいて下さい。
-
私はIPv4からIPv6 に移行する上での鍵は「コスト」だと思う。実際に桁が増えるごとによる煩わしさはあるものの自動化されている面が多く関係ない。我々のような家庭レベルでのネットワークしか構築していない人間から見ると機材入れ替えによる資金がネックになると思う。希望としては上位互換的な IPv6 にIPv4 を含むようにすればいいと思う。(技術的なやり方は難しそうですが)
講師からのコメント:
テレビ地上波放送がアナログからデジタルに変わります。これもある種のプロトコル変更です。
国はこのデジタル化に巨額の予算を付けて、数百万件の家庭に個別訪問してアンテナの調整から機器設置、チャンネル調整までやって解決していくと発表しています。(いわゆるアナ・アナ変更と呼ばれている記事をさがしてみてください)
コストは確かに重要な問題で、それを誰が負担するか、という問題と合わせてなかなか解決しません。
重要なのは時間の設定です。いつまでに載せ替える事を(少なくとも我々の周囲では)誰が決めるか、ということが意外に重要なのかも知れません。
それがどれだけ国の競争力になるか、というような視点からは上にあげたように国が巨額の予算を組んで実施する可能性すらあるのです。
-
アメリカがIPv6の主導を握れるかどうか。
-
IPv4 から IPv6 に移行の鍵は技術だと思います。
なぜなら技術が発展すればするほど企業の世界も動き出すだろう。
政府の方は何かをさせようとしても企業は経済のために動かないでしょう。
講師からのコメント:
ビジネスベースで考える、ということはこうした場合重要な視点の一つですね。
-
IPv6 の必要性の明示。IPv6 の機能性の明示。IPv4 のアドレス空間の無さを実感させる。PC が一定水準まで普及したならば、国策による移行という措置も有効となって来るであろう。
講師からのコメント:
良い視点だと思います。現状も重要ですが、将来予測も重要です。国の中でコンピュータ利用率、ネット接続率が今何パーセントで、そこから何パーセントになったら国策として適用する法が効率が上がるのか、良く見極める必要があるでしょうね。
携帯電話の通話料も同じことです。国民の半数以上から、一人あたり年間幾ら通信料として払わせることが国の競争力を上げるのに適しているのでしょうね。
-
すっかりIPv4が定着している状態から IPv6 へ移行させるのにはユーザーにIPv6 の利点を明示して関心を持たせる事が大切ではないかと思う。
ちょうど現在JR の ICOCA カードが普及し始めている状況と同じではないだろうか。
-
IPアドレスを実際に足りなくなるまで使い、代わりの v6 に移行する事。
詰まり必要なのは国の政策などではなく、不具合が出て困るユーザの声であると思う。
-
今はやはり利便性を望むユーザーが非常に多いと思うので、ユーザーへのキャンペーンをしっかりやればユーザは食いつくと思われます。
Yutaka Yasuda (yasuda@cc.kyoto-su.ac.jp)