レポート:今回のクラスで考え方や認識が変化した部分などについてあれば書いて下さい、とお願いしました。
(おおよそ見当がつくと思いますが、詰まり試験はこのような形式で行います。)

受講生からの回答

全文、原文のままですので、誤字や途中になっているものなど多くあります。
  1. ADSL の価格の低下による急激なインターネットの普及について。ADSL の価格が高ければ、今でも日本はインターネットが普及していないかも知れないと先生はおっしゃったが、それを考えただけでゾッとする。 今後、どのような形であれ私たちの生活に密着してくるインターネットの世界はさらなる日本を大きくすると起爆剤となると思います。
    講師からのコメント:
    短い時間で書いて貰っているので仕方ないのですが、文章で読むと、クラスの場にいなかった人は認識がずれてしまうかも知れませんので補足まで。 インターネットが普及していない、というような場合は常にその基準に注意するべきです。 ADSL の価格破壊とも言える動きをしたのはSOFTBANK で、明白にここに影響されて日本は現在のようなADSLサービスを、それも非常に高速なサービスを世界で最も安く手に入れられる国になりました。この、他の国や地域と比較した時の状況(進み方)が非常に重要です。


  2. Windows 脱却について、昔はトロン導入をアメリカに潰されWindowsが基本になったのに、今は脱却しようと出来るところにいるらしい。また阻止しようとしているのか、それとも別の目的があるんだろうか。 Windowsの大雑把さや現在毎日のように出ているパッチの多さなどより、ユーザーからも不満の声が高まっているらしい。 個人的にはLinux が発展するのは嬉しいし、TRONも使ってみたい。それにおいてネット家電が普及しているのも関係あるんだろう。しかしセキュリティ問題はどうなんだろうと思った。今まではPCだけで済んでいたものがレンジが発火とかは嫌だなと思った。けど、便利だとは思うし、小さい頃からは考えられないほど、面白いくらいの速度で変わっていって居ると思った。
    講師からのコメント:
    内容的には何となく分からない事もないのですが、まずは手元にある情報と自分の思考を、まっすぐ書くようにすると良いと思います。相手に伝わるかどうかはそのあたりで大きく変わりますし、たいていの場合、自分がどのくらいしっかり考えられていないか、抜けが多いか、ということがその段階で分かるからです。


  3. 私はMS の考え方はくろーずな気がして昔から大嫌いだ。
    しかしながら代わりになりうる OSはなく同じように思いながらも仕方無く「Windows」を使っている人も多いと思う。ただ機能というだけで言えば「BeOS」「超漢字(TRON?)」「unix系」たくさんあるけれど、誰でも比較的分かりやすい説明も少ないし、何よりソフトウェアが足りない。記事にもあったが、MS 社は組み込み分野で「Windows」外しがはじまり、深刻化しないとオープンにならない。「仕方がないから」オープンにしている気がして腹が立つ。今後の情報産業?を考えると「Windows」外しは必要だと思う。
    だからこそ「unix系」OSの説明、インターフェイスの改善なんかが必要だろう。MacOSX は非常に良い考え方だと思えた。
    講師からのコメント:
    先のコメントと同様(ただこちらの方がかなりまとまっていますが)もうすこし「感想」ではなく「意見」としての結論が欲しいと思います。書きたい事はわからないことはないですが、記述に方向性がくみ取れないので、結局どのようなことを考えているのかがぼやけてしまいます。好き嫌いという表現が結果的に文章から力を奪っている、という部分もあります。


  4. 家電製品の配置を電気屋が決定するようになるかも知れない。
    家庭内の電化製品が、相互にネットワークで結ばれるようになれば、その居住者のニーズにあった設計をするデザイナーが必要となる。 手間の掛かる、必要な機種全ての取捨選択をエンドユーザーが行うのは難しい事だと思う。
    講師からのコメント:
    はい、良い視点と思います。その通りで、このあたりをどう解決出来るか、技術的なチャレンジが(ここしばらjく低調ですが)幾らか以上行われています。クラスで紹介した家電企業の動きなどもそのうちの一つです。余り成功していませんが、例えば Jini などを調べてみると良いでしょう。


  5. 今回の講義を聞いて、デジタル化は進みつつあるが、それが相互に成り立つデジタル生活にはまだまだ遠いのではないかと思った。自分の考えでは一番のハードルは技術というより権利の問題である。権利の話が出てくると、方についての議論も不可欠であり、となると政治自体考えなければならない問題へと発展するので、多大な時間が必要だと思われる。
    そもそもデジタル情報は広域なものでないと意味がないと思う。確かにデジタル放送を何度も録画出来ないのは権利者からしてみれば理解出来るかも知れない。 前からあるCD からMD や MD から MD などへのデジタル録音も一度きりとされている。 確かにデジタルであるが故に権利が失われるような可能性があるが、デジタルであるが故により広域に、相互である事が必要だ。
    家電がデジタル化すれば生活は大きく変わるのではないかと思う。そのためにもデジタル化に伴う権利を守る技術や法、それに対する措置を明確にするような政府の対応などが求められているのではないかと思う。
    講師からのコメント:
    おおよそ良い意見と思いますが、一点。時間が多く必要なのはわかりますし、まだまだ遠い、というのも良いのですが、具体的に何年必要で、何年待てるか、というモデルを描く事が重要だと講師は考えています。三年と仮定するのか、十年なのか、三十年なのか、それによって自分たちが取るべき具体的なアプローチが根本的に変わってしまうからです。
    デジタルデータ化する事で、時間と空間を超える(時間的距離と空間的距離の障害が小さくなる)、という点についての考え方は全く妥当なものだと思います。時間と空間の制約によって実現出来なかったことを前提に法律システムができていたりするため、デジタル化によってそれらが揺すられているという解釈も基本的に正しいと思います。


  6. 今月の1日から日本の一部でデジタル放送が開始されましたが、まさかこんな問題を抱えているなんて知りませんでした。相互接続の話も層ですが、開発者側はもっとビジョンをしっかり持った方が良いのではないかと思います。将来、これが開発されて普及したら、あんな事が出来るだろうな、でもこんな不具合が生じるのではないかとか考えて、しっかり打開策を見いだしてから世に売り出すべきです。どうも見切り発進してしまっている感があります。細かい目先の事よりももっと大局的な見地から構想を練っていけば、もう少し抱えるべき問題は減っていくのではないでしょうか。
    講師からのコメント:
    同感です。デジタル生活を丸ごとデザインする気概のある企業を応援したいと講師が思う理由です。


  7. ネット音楽配信サービスなど、パソコンを使ったネット上での様々なサービスが乱立しているが、それらを使いこなすことが出来る能力を持った人というのはほんの一部であり、ほんの一部のためにどんどん技術革新してもどうかと思う。学校などでもっと力を入れて、誰もがその能力を持ち合わせるようにすることの方が先決だと思う。
    講師からのコメント:
    高校でいま正課として「情報」がはいっていますね。どう評価しますか?


  8. インターネット、パソコンの普及によって、いろんなものがコンピューターによる管理・操作になってきたと思う。ネット家電の相互接続というのが僕たちにとっては一番身近なものだが、これらから先、さらにコンピュータ技術が向上していく中で、より便利で快適な生活が出来るようになることだろうと思う反面、もしも電気供給が途絶えたり、コンピューターに欠陥が見つかったらと思うと、コンピューターに頼りすぎて生活力を失ってしまった人間は生きていけないのではないかと思うし、そういったコンピューター技術発展のしっぺ返しが恐いのではないかなと思った。
    講師からのコメント:
    工業生産の発展による大量生産・消費文化のしっぺ返しを我々はいま環境問題という形で受けつつあります。情報化の行く先がどういった形で「お返し」をくれることになるのかまだ講師には想像がついていませんが、いまの環境問題から幾らか以上の学習が可能なのではないかと考えています。(生物工学・生命科学についても同様の揺り返しを覚悟しなければならなくなるでしょう。その時までに十分に学習する必要があります。)


  9. 一つ疑問に思ったこと(分かりにくかったこと)があったので書きます。
    松下、ソニーが共同でLinux を開発するという話の中で、開発したソースコードを無償で公開する理由、つまりそれによるメリットが私には理解出来ませんでした。
    公開することにより自社の技術でなくなり、結局マイクロソフトにOS を独占?されていた今までと変わらないのではないかと思うのですが、、
    家電メーカーがソースを書き換えることが出来るので、それでもいいということでしょうか?
    講師からのコメント:
    もっともな疑問で、来週とりあげられればと考えています。来週は組み込み技術とオープンソース、それと特許の関係についての講義をしようと思っていましたので、ちょうど良いでしょう。日経エレクトロニクスあたりにソニーと松下のそのあたりの対談が載っていたと思いますので調べておきます。


  10. デジタルデーターのやりとりになるので、権利がしっかりと保護されていないと使う側からするとコンテンツが減って意味が無くなりそうではあるが、ネット経由で制御されるのも管理されているようで嫌だ。

  11. 情報によると米国で新しい開発を出した、Internet で 20 seconds でDVDの容量を転送出来るようになった。それは家電製品を Internet に近づけると思うが。家電製品をネットで control といえば無線 LAN をつかうべきである。それは Security には安全であるかという私の疑問である。
    講師からのコメント:
    無線 LAN は有る程度以上危険な状態にあります。うまく使えば問題ない、まずい使い方をすればまずい状態になる、という点では他の全ての通信技術と同様なのですが、無線 LAN に関しては「うまく使う」ことが他の手段に比べて少し難しいのです。



Yutaka Yasuda (yasuda@cc.kyoto-su.ac.jp)