レポート:Microsoft が VC-9 フォーマットを DVD 標準フォーマットにしたい理由

DVD Forum が VC-9 フォーマットを H.264, MPEG-2 に加えて標準フォーマットの一つに採用しました。 なぜ Microsoft はそうしたかったのか、なぜ東芝や NEC は H.264, MPEG-2 を推したい (VC-9 を含めたくない)のか、VC-9 が加わったことでどのようなことが起きうるのか 検討をお願いしました。

講師から

VC-9 から継続的に得られるであろうライセンス料のこと、 Microsoft の動画再生ソフトウェア(Windows Media Player)がカーナビを含めた情報家電など多くの分野に 進出して行くであろう事、またそのための OS として Windows が進出していくであろうことはまっすぐに 想像がつくでしょう。
しかしこの週はデータのフォーマットと互換性に関するクラスでした。 VC-9 の採用はこのフォーマットと互換性という視点から無視できない側面を発見できるはずです。

講師の(予断を多く含む)判断として、幾つかのことを示しました。
  1. ソフトウェア業界でのバージョンアップとそれに伴うデータフォーマットの非互換性の発生と、それが囲い込み的なマーケティングにある程度以上関係していること
  2. Microsoft の標準技術に対する対応(Java や HTML に関する互換性を崩す方向での実装、アップグレードの方針)
  3. 日本の家電産業界による PC 開発製造の過去と現在の状況の変化(80年代の国内独自路線と90年代後半以降のPC/AT標準体制下での状況)
  4. 国内産業界にとっての情報家電分野の将来性、重要性
そうした状況から、NEC や東芝が公開の場で作られたフォーマットを推し、Microsoft 発のフォーマットを含めることを好まない構造が見えてくるでしょう。

例えばクラスでは、Microsoft が互換性を少しずつ崩す方向で VC-9 を拡張し、公開の場で作られた標準とは別に、 新 VC-9 がデファクト・スタンダードとなるよう市場を誘導する場合を検討しました。 そのときメーカー(規格の策定者)とユーザ(規格の利用者)はどのような立場となるでしょう。 どのような立場であるのが良い状態でしょう。

受講生からの回答

全文、原文のままですので、誤字や途中になっているものなど多くあります。
  1. Microsoftが非公開で向上させてきたフォーマットを標準仕様として使わなければならないというのは、 Microsoftが技術的に精通しているという点で大きな優位性となる。
    NEC/東芝においても同じで自社で作った規格が採用されれば、技術面でadvantageとなる。
    講師からのコメント:
    前半については全くその通りですが、後半、クラスでの説明が不充分だったことから誤解をさせてしまったようです。申し訳ない。 H.264, MPEG-2 は公開の場で作成された規格で、NECや東芝の規格ではありません。 つまり今回例にあげたのはメーカー同士の肘の張り合い(場所取り競争)ではありません。 もちろんそうした側面もありますが(営利企業の動きですから当然です)、それだけではありません。 互換性とフォーマットの微妙な関係、それがマーケティングに与えうる影響、という構造に注目してくれればと思います。

  2. Microsoft側にとっては・・・
    自社製品の技術を業界標準とすることによって、それに関する付帯的な利益を受けることができる。
    既存のマイクロソフトがtargetとしてきた市場にとどまらず、DVD市場においては様々な層、 様々な市場に対するアプローチが可能となる。X-BOXを(具体的な判りやすい)例として、 現在マイクロソフトはPC市場以外へのしんとうを計っている最中である。
    東芝/NEC側にとっては・・・
    公開されたとはいえ、VC-9はこれまでのマイクロソフトプロダクツ同様、一社の独占開発によって 産み出された技術である、技術情報の基幹部分ならびにそのDevelopに他社がかんよしてない状況では、 これまでと同様マイクロソフトによる利益の「囲い込み」がなされる可能性がある。
    (またオープンソースとは異なる、1社開発によるへい害はWindowsを用いるとき常に感じることである。)
    講師からのコメント:
    囲い込みに注目している点で回答者のセンスを感じます。 あともう一歩すすめて、どのような経路をたどれば(公開されている)標準規格から囲い込みを実現し得る構造になるか、想像してみるとより興味深い回答になったかと思います。


  3. 自社技術依おプロプライエタリとしてきたマイクロソフト社が、動画フォーマットを提出したことは、 DVD市場に参入し、既存の技術を利用しながら、パソコン市場と同様に、 市場を席巻し、ひいてはTV等の家電業界にも進出するためではないだろうか。
    それに対して危機感を覚えた東芝やNECは、公開の場で作られたフォーマットを扱うことによって マイクロソフトが市場参入してもフォーマットのマイノリティ(少数派)にして、 市場を独占させる事を防ごうとしているように思う。パソコン市場で強大な力を持つマイクロソフト社の本格的な 家電市場への参入によって生じる、自社の市場地位の崩壊を防ごうと東芝やNECはしているのではなかろうか。
    講師からのコメント:
    全体としてはその通りです。 なお、時間関係からは H.264, MPEG-2 が先に確定していました。VC-9 は後から提案されています。 これはあまりクラスでは強調していませんでした。すみません。


  4. 今となってはパーソナルコンピュータも一家に一台の時代となっているが、それでも依然としてTVの 間口の広さにはかなわない。ここ日本でも数年後には完全にアナログ放送からデジタル放送に切り替わり このデジタルTV市場で自社の技術が標準規格として承認される事になれば、・・・・・・・・
  5. 自分たちのフォーマットがスタンダードになれば、自分たちがこれまで蓄積した技術を用いる事ができるし 有利になる。公開の場で作られた物ならば研究などもしたりできただろうが、 非公開で作られた物には研究なども出来ず、また時間がかかる。技術提供してもらうにしても金がかかってしまう。

  6. マイクロソフトはWindows Media Series9を動画フォーマットとして提出する事によって、 そのフォーマットが承認されればDVD市場のテファクト・スタンダードとしてWindows Media Series9とともに マイクロソフト社全体のブランド力が高まり、DVD以外のパソコン等の市場でも有利な立場に立つことができる。
    NECや東芝は、マイクロソフトがデファクト・スタンダードを獲得することによって市場で一人勝ちするくらいなら 公開の場で作られたフォーマットをデファクト・スタンダードにした方がマシであると考えている。
    講師からのコメント:
    DVD Forum の承認はまさに「標準」というもので、デファクト・スタンダードとは異なります。 今回の例の興味深いところは、標準化のプロセスとデファクト・スタンダード、公開の規格とプロプライエタリのもの、 互換性と囲い込み、といったものの構図のなかでの出来事だ、という点にあります。


  7. ―マイクロソフトのが承認されたら全世界で使ってもらえるので知名度が上がるから。
    ―ライバル会社のものが全世界で広まると、自社(NEC/東芝)のシェアが減ってしまうから。

  8. Microsoftの提出したフォーマットを使用する事で、Microsoft社は知的財産権を有する事ができるの ではないかと思う。また幅広い分野でMicrosoft社の技術が使われるようになる。
    一方NECや東芝はその技術を使う場合、Microsoft社に知財権のための代償を 支払わなければいけないのではないかと思う。
    講師からのコメント:
    フォーマット、すなわち符号化のためのエンジニアリングそのものが大きな知的財産となり うることは指摘の通りです。このことはいつかクラスで取り上げることができればと思っていた点の 一つです。例えば MPEG-2 は本来公開の場で、将来にわたって皆が安価に(または無料で)使い続け られることを期待して作られたものですが、現在、開発過程で特許権が幾つかの企業などに発生してしまう 事態となっており、標準規格としての意義自体が危ぶまれています。
    なぜ MPEG-2 があるのに H.264 が取り込まれたのか、ということも調べてみると良いでしょう。 JPEG も同様の状況です。GIF での騒動は一つの大きな教訓となるでしょう。 今後、特許といった形で知的財産権を集中的に発生させてしまわない「安全に使える」規格を、 どのようにして開発し、どのようにして人類の共有財産としていくか、ということは非常にホットな話題の 一つとなっています。


  9. MicrosoftのフォーマットはMicrosoftの技術の蓄積であり他社がそれを使いこなすのは 時間がかかる。そのため東芝やNECは嫌がっている。
    現在OSはほぼMicrosoftの独占状態である。Windowsにとって最も適したWindows Media Series9 が採用されやすくなってしまうため、Microsoftは競争に容易に勝てるだろう。
    そのため他社は嫌がっている。

  10. Microsoftのフォーマットがディファクトスタンダードになると、他社はそのフォーマットに合わせざるをえない 状況になるので、主導権がとられてしまう。
    ゲーム機でいえばPlay stationがディファクトスタンダードのようなものなので、他社はPlay stationのフォーマット に合わせざるを得ない。
    講師からのコメント:
    今回の VC-9 は標準規格への承認ですので、その点に注意して下さい。 この点で PlayStation などとは全く状況が異なります。


  11. ―動画のデジタル配信を処理するパソコンの優れたフォーマットが、DVDフォーマットになることで Microsoftはインターネット以外の分野に進出でき、その高い技術力を立証する事で他のマルチメディア の中心になる事ができる。
    ―互換性を持っていないとサポートできるデータが少なくなるから。

  12. ・情報を公開してでもこの分野に産有したのはDVD市場が巨大なために公開を差し引いても十分にメリットが あるためであり、時差yの技術が標準規格になるだけでも十分に支配力を強められるから。
    ・情報が公開される事により、誰の物でもなくなるとはいえ、元の企業の影響は残る可能性があり、 それを嫌ったNEC,東芝は最初から公開の場で作られたものを採用した。
    講師からのコメント:
    まさにその通りです。できればどのようにして影響力を公開規格にしたものに対して残せる可能性があるか 検討が及ぶとなお良かったと思います。


  13. Microsoft社が動画フォーマットとしてWindows Media Series9を提出したのは、自社の技術を HDDVDの標準規格にさせたいが為なのではないだろうか?自社の技術が国際標準に採用されると 大きな優位性を得ることが出来る。またNEC/東芝はMPEGなど公開の場で作られたフォーマットを推して いる。これは他社のフォーマットを使用する事が競争他社の利益につながると考えている為、避けているのだと思う。

  14. Microsoft
     自社の技術を公開する事で顧客が増えるのを目指す。
     (公開する物は高い技術によるもの)
    NEC/東芝
     公開の場で作られたフォーマットで統一することで、「みんなが使える」ことを目指す(寡占の阻止)

  15. Microsoft社は公開しても、他社がなかなか真似できないという自信がある。 Microsoft社の技術公開に対応している間に、Microsoft社がDVDの市場で名を広げてしまう。 他者はどうしても遅れをとる形になるので不利である。 他社はフォーマットの技術公開がされるまでソフトウェアの開発が出来ない。
    講師からのコメント:
    いえ、他社にとってそれほどまでに実装が困難なものは標準規格としては採用される可能性が非常に低いです。 おそらく問題なく実装可能な状況と思います。 もちろん Microsoft がもっとも実装に有利な立場にあると思いますが、回答者が想像するような状況ではないとおもいます。 (そうした不公平競争状況をできるだけ避けるようにDVD Forum のような標準化団体は振る舞います。)


  16. 動画フォーマットとしてのWindows Media Series9の提出と(仮)承認が意味する物は、Microsoft社が 自社の技術情報を公開してでも自社のフォーマットを支配的なフォーマットの種類にし、 自社にとってデータの複合化をしやすくしたかった、ということだと思われる。
    NEC/東芝がMPEGなどの公開の場で作られたフォーマットを推しているのは 各メーカーの間での公平性を保ち、市場への参入障壁が生じないようにするためだと思われる。
    講師からのコメント:
    まさにその通りです。あと一歩踏み込んでいれば面白い記述が読めたかと想像します。 次回のレポートに期待します。


  17. Microsoftにすれば自社技術を公開してでも自ら技術を世界標準とした方が、幅広い分野で活躍でき 進出できる。そうすれば同社の収益は伸びるので、NEC/東芝としては、その事は望ましい事ではない。

  18. Microsoft社にとっては独自のコーディック技術を公開し、動画フォーマットとして承認される事によって DVD市場に独自のフォーマットを広く普及させる事ができるようになる。 またその普及と共に新たなビジネスチャンスを得る可能性を期待している。
    一方NECと東芝はHDDVDを標準規格にしたいがために、互換性を重視し、 普及しやすくするためにオープンなフォーマットを推している。
    講師からのコメント:
    標準化は公開が前提です。互換性、というところに視点が向いたところは良かったと思います。


  19. 自社のフォーマットで市場が統一されることはその市場でのブランドイメージが確立されることになり、 その企業の将来的な安定につながるため独占が期待される。またその市場における決定権を他企業より強くもてる。 技術面においても、他企業のフォーマットに統一されてしまうと1からやり直さなければならず、 コストや時間を費やす事になってしまう。
    講師からのコメント:
    標準化は公開と共有が目的ですので、回答者の想像している状況は少しあたらないとおもいます。 問題は公開(共有)から独占(閉鎖)への移行が果たして可能なものかどうか、にあります。


  20. マイクロソフトとしてはこれまでの方針を変え、フォーマットを公開しても承認される事により 公認団体から得られたその承認は今後過熱してくるであろうフォーマット統一への競争の中での信頼や品質の保証 として市場が見てくれることを期待できるのでは。
    逆にNEC/東芝などは自社のみでおそらくはDVDを統一できるような優れたフォーマットの開発を難しいと考えているため、 公開の場で開発する事で各社の力関係を分散させたいのではないか。
    講師からのコメント:
    講師は考えたことがない視点でした。面白い見方と思います。統一、、、しますかね。。ちょっと考えてみます。


  21. 将来 市場の拡大が明らかなHDDVDのフォーマットの世界標準として認められるという事は、 大きなネームバリューを得られることであり、また、そのフォーマットを軸とした製品開発や市場の拡大が 容易に行えるから。
    Windows Media Series9が承認されるのと、MPEGが承認されるのでは 市場競争における各企業のスタートラインが全く異なってしまうと思う。

  22. Microsoft社が公開してまでも承認されようとしたのは、 自社が規格になる事でHDDVD市場に関して有利な立場に立てるからだと思う。 そしてVC−9の需要が増える事により利益も増大する。 NECや東芝はVC-9はマイクロソフト社のものであり、・・・・・・

  23. 知的資産であるVC9の使用承認はDVDメーカーのDVDの販売、売り上げに応じた一定の%の利益を得る ことを意味する。そしてDVD産業は成長段階にあり、大きな利益が見込まれる。 NEC/東芝は逆にVC9が承認されれば、多額の研究費をかけたMPEGのDVD産業進出による利益を 大きるMicrosoftにゆずることになる。

  24. .灰鵐團紂璽燭砲いてフォーマットはとても大切で(それによってデータが再生できなかったりできたりが決まるから) もし優れたフォーマットを社会に広げてそれを定着させる事ができたならそれを作ったMicrosoftは 映像技術の市場で独占的な立場に立てるので新しい技術であるウィンドウズメディア9シリーズを 発表したと思う。つまり映像メディアを作るときに他の会社はマイクロソフトの技術を使わなくてはならなくなる。
    NEC/東芝としては新しい技術が定着してしまうとそれを導入するコストがかかったり、 今までの設備では対応できなくなってしまったりするという恐れがあるため従来の技術を推奨していると思う。

  25. Microsoft社は自社が開発したWindows Media Series9がフォーマットとなると想定して 多くの関連商品を開発する研究を行っているから、自社のWMS9がフォーマットにならなければ方向転換を強いられる。
    NEC/東芝としてはWindows Media Series9がフォーマットとなると、今からそれを基準として新たに研究開発を行う必要があり、 お金がかかる。さらにこれまでMPEG等にあわせて開発してきたほかの関連商品の研究開発の努力が無駄になる。
    また、Microsoftが独り勝ちになる。

  26. PCでの世界だけでなく、マイクロソフト社のAV機器の世界の特にDVDという映像世界の独占の見込みもあり、 著作権でお金が入ってくる。
    NEC/東芝がイヤがるのはPCとDVDプレーやの互換性が生じるとHDDVDがPCですべてできるようになってしまうと
    自社製品が売れにくくなるため。
    講師からのコメント:
    DVD は今もそうですし、今後も PC で問題なく動作するものと思います。 家電系のメーカーが考えているのは PC より優れた DVDプレイヤーの開発と思います。 そしてそれは全くもって現実的なアプローチと思います。


  27. DVD市場というのはまだまだ発展途上の技術で、まだ大きな可能性を秘めていると考えられます。 そのような状況下で、NEC/東芝が推しているHDDVDとSONYが推している規格だけが承認されると 他企業の参入が厳しくなると思われます。DVDはPCとの互換性もあることからPCソフトウェアの最大手ともいえる マイクロソフトがこの機会を逃すと大きな損失になるのではないでしょうか。NEC/東芝がマイクロソフト社の HDDVDへの進出をあまり良く思っていないのは別の規格が承認されることでHDDVDのシェアが 大幅に落ちると考えていると思います。
    講師からのコメント:
    DVD Forum が標準として認めた以上、すべてのプレイヤーは H.264, MPEG-2, VC-9 の三つの フォーマットをすべてサポートすることになるでしょう。 その意味で VC-9 が入ってきたために直接シェアが変化することはないものと思います。


  28. いくら公開されているとはいえ、マイクロソフト社はVC-9であれば今までの蓄積された技術の応用で 可能なため、早く安い生産が可能であるのに対し、他者は公開後 学習の時間が必要であり、不利である。

  29. マイクロソフトはDVDという市場でデファクトスタンダードを獲得する事によって 非常に大きな利益を得られると考え、進出したと思う。それは自社の技術を公開するに値する 市場規模がDVD市場にはあると感じ、今後マルチメディア技術をインターネット意外に進出させようと考えている マイクロソフトにとってDVDのデファクトスタンダードを獲得する事によって新規事業に進出するという事を 強く印象付けられると考えたからだと思う。
    東芝/NECはDVDの市場をマイクロソフトに奪われる事を恐れている、 マイクロソフトの独占を恐れている現在のインターネット市場のような状況になることを恐れていると思う。
    講師からのコメント:
    前半は良い判断と思いますが、後半が逆に漠然とした記述になってしまいました。少し残念です。

  30. DVDにMicrosoftのフォーマットを組み込む事で、Microsoft社は将来的にDVDデッキを 家電の1つではなく、コンピュータの一部として展開して行こうとしているのではないかと思った。 Microsoft社は将来、家電製品を1つのコンピュータシステムに纏め上げる構想があるのではないだろうか。
    講師からのコメント:
    今回のフォーマットと互換性、というテーマからは少々外れていますが、はい、この視点はまったく 正しく、Microsoft は明白に家電製品をコンピュータ的な方向に引っ張りたいと思っていますね。 家電メーカーは明白に、コンピュータの機能を家電的なフォームファクタ、使われ方に引っ張りたいと思っていますね。 回答者のセンスを感じます。


  31. Windows Media Series9を公開し、世界的承認を得ることにより、Microsoftが今まで作り上げてきた技術が 市場にでまわる事になる。それはすなわち新しい技術を受け入れるために必要となる 莫大なコストをかけずにすむことを意味する。また同時にHDDVDの市場は、莫大なものであり 一社が独占できる規模では経済的にも倫理的にもなかった。ゆえに公開してまで 世界的承認を勝ち取りたかったと考える事ができる。
    東芝/NECがその承認を快く思わないのは、上の理由の逆作用だと考える事ができる。 つまりMicrosoftのWindows Media Series9がグローバルスタンダードとして認められてしまうと その技術を受け入れるための莫大なコストが必要となり、かつ今まで公開の場所で作り上げてきた MPEGの研究の意味やコストが全くなくなってしまうことを避けたいからだと考えられる。
    講師からのコメント:
    直感的には DVD市場における先行者利益として得られるパイは相当に大きなもので、長期的視野を 比較的重視している日本の家電メーカーなどは、そのための研究投資は(比較の問題として)回答者 が言うほど大きな要素にはならないようにも思います。
    言い方を変えると VC-9 だろうがなんだろうが、むしろ実装が技術的に困難なものほど競争優位に 立てる可能性があると考え得る、ということです。どうでしょう?
    (回答者はどちらも「莫大」としていますが、桁が違うように思える、ということが上の私の意見の出発点です。)


  32. 公開されたフォーマットを推す事によって多くの企業が同じフォーマットを使用すれば、 ソフトを使用する顧客(消費者)の利便性が高くなる。その利便性の高いフォーマットを使用している という点で、消費者の信頼が得られるから。 またマイクロソフトの規格で統一されればフォーマットの質も良く、実質的に自社の製品の質も良くなる。

  33. NECや東芝にとってはマイクロソフト社にこれ以上主導権を握られたくないため 公開の場で作られたフォーマットを推しているのではないかと思います。 マイクロソフト社にとっては自社のフォーマットが認められればシェアを一気に獲得する事ができるため、 大きな利益となるからだと思います。

  34. DVDのフォーマットが認められれば、VHSとベータの争の後 VHSがほぼ占有してきた状態を見る限り ここでフォーマットを公開するデメリットよりメリットのほうが大きいと考えるだろう。 その後のDVD業界において自社技術が占めていればそれに付属するあらゆる技術を導入しやすくなる。 ひいてはDVDに関する多くの面の技術をMicrosoftが占めることができるようになる。 DVDフォーマットでは認められれば流れに乗って一気にシェアを占めることになる。 MicrosoftはPC界においても強力であるからNEC等は自社技術を推すよりもMPEGを推す事で 止めようとしている。
    講師からのコメント:
    少し記述がちぐはぐになってしまったようで、残念です。もう少しじっくり聞いてみたくなる意見ですね。


  35. マイクロソフトはまず利用者を増やす事でパソコンメーカーに対して自社のパソコンの中に ソフトを組み込ませざるを得ない状態にするのだと思います。 パソコンメーカーはマイクロソフト社に主導権を握られたくない為に他でのソフトを推すのだと思います。
    講師からのコメント:
    良い視点とおもいますが、今回の NECと東芝は自社の PC への適用について考慮しているわけではないと思います。 彼らの焦点はいわゆるデジタル家電製品にあります。その分野では Microsoft は成功者ではありません。 むしろ後れを取りつつあります。ここが重要な点です。


  36. マイクロソフト社は自社のソフトウェアの利用者を増やし、パソコンメーカーが 自社パソコンの中にそのソフトウェアを組み込ませざるを得ない状況にする事が狙いだと思われます。 またパソコンメーカーは自分たちで主導して経営していきたいと考えるため、 マイクロソフト社のソフト以外を推すのだと思います。

  37. DVD市場が非常に巨大であるため、互換性の問題を考えたとき、フォーマットの一般性が重要になる。 独自のDVDフォーマットの技術公開により、その技術(フォーマット)が自分の物ではなくなってしまう が、あらゆる人の物となる事でマイクロソフトはDVD市場を支配したということができるからであろうと思う。
    自社の枠内にとどめるよりもむしろ公開する方が市場の規模を考えるとメリットが大きいといえる。 東芝などの立場からすると、マイクロソフトに市場を支配される事は望ましくない。
    講師からのコメント:
    フォーマットが Microsoft 発であることは名誉としては重要ですが、市場の支配(金銭的な意味での 主導権)を直接意味しないと思いますがどうでしょう。


  38. 自社で開発するのはコストと時間がかかりすぎるが、マイクロソフト社のフォーマットを使用するためには マイクロソフト社に継続して使用料を払い続けなければいけない。 一社のフォーマットがスタンダードになることで、一社が優位性を持つことを懸念したから。

  39. Microsoftが何故 方針変更してまでWindows Media Series9を提出したかというのは  自社以外の技術が採用されてしまった場合、HD-DVDに関して開発する際に新たにその技術に関しての 開発を行わねばならず、余計なコストがかかってしまう。
    しかし自社技術が採用されれば居間までの開発の延長で製品開発が行われるので、 余計なコストが不要であるという事ではないかと思います。 NEC/東芝に関しても同様であると思います。

  40. Microsoft社のWindows Media Series9(以下WMS9)がHDDVD業界の標準規格(デファクトスタンダード)と なることはHDDVD業界、および関連業界内においてMicrosoft社の影響が強くなるということではないか。 特定企業が大きな影響力を持つということは他社・および新規参入企業にとってはやりにくい話である。
    講師からのコメント:
    デファクトスタンダードは、その名の通り ( de facto ) 業界標準、事実上の標準のことです。 今回の DVD Forum の承認はそうではなく、本来の世界標準のことです。


  41. マイクロソフトの技術が標準化されるとすべてのハードウェアに自社のソフトが使えるようになる。 そういった環境の下で有利なのは大規模な企業であるから、マイクロソフトは技術を公開してでも フォーマットを標準化しようとするし、NECや東芝はニッチをつく戦略が問わなくなってしまうという理由から 標準化に反対している。
    講師からのコメント:
    DVD における日本の家電メーカーの戦略はニッチ向けではないと思いますよ。 真正面からやっていますね。


  42. マイクロソフトのパソコンの技術と互換性があるため、今後衛星放送やケーブルテレビの画像に関してパソコンを利用しようとする人が増える場合に、マイクロソフト社の製品を利用する人が増えそうだから。

  43. ―マルチメディア業界の中でのMicrosoft社の地位がさらに向上するとおもに幅広い分野での活躍の幅が広がる。
    ―Microsoft社の独占を防ぐため。

  44. ・独占禁止法に違反しているなどと批判を受けてきたマイクロソフト社にとって、Windows Media Series9を 提出する事はその批判を減少させるひとつの手段となり、またその技術が様々な分野で利用・応用されることを 期待している。
    ・公開の場で作られたフォーマットを推す理由は、マイクロソフト社のフォーマットを利用すると
    結局は同社の独占となってしまうし、利用料も支払わなければならない。 そのため、誰にでも利用可能な公開フォーマットを推す事により、 マイクロソフト社による独り勝ちを抑えようとしている。
    講師からのコメント:
    独禁法訴訟対策というのは講師は考えたことがありませんでした。興味深い意見をありがとう。 (実際そういう観点を彼らがどの程度汲んでいるかは分かりませんが、、)
    ところで上のコメントは公開性と独占可能性が同居した、ある意味矛盾を含んだ説明になっています。 それを矛盾でなくする戦略があり得るかどうかについて説明があるとなお良かったかと思います。


  45. ―DVDという世界中で広く使われるもののデフェクトスタンダードに自社の技術が用いられることで、 パソコン以外にも進出する足がかりとすると同時に、Microsoft社は自社の利益だけでなく 社会的な利益に貢献しているという姿勢を表すため。
    ―技術が公開されるとはいえ、Microsoftという企業によって作られた技術を標準にすると それを用いることで得られる利益がMicrosoftに集中するから。
    講師からのコメント:
    アピールは確かに重要と思いますが、それ以上の実利的な価値は考えられないでしょうか?


  46. ○将来はHD DVDの市場が巨大になるため、マイクロソフトはこの市場を確保したいと思っている。 しかしプログライエタリのままにしておいてしまうと世界一の標準としては当然認めてもらえない。 するとマイクロソフトのものとは別のフォーマットが標準とされ、マイクロソフトはこの市場から締め出されることになる。 この魅力の高い市場に参加するメリットが大きいと考えたから。 これが仮承認されたということは、マイクロソフトがこの将来の市場に大きく関わる事を意味する。
    ○圧倒的な独占力を持つマイクロソフトはNECや東芝にとってやっかいであり、 独占のため利益がマイクロソフトに集中してしまっている。よってマイクロソフトの独占をくずす為に MPEGを推した。しかしマイクロソフトのものが仮承認されたということは現在において 圧倒的な力を持つものが介入してくるのであるから、 たとえ公開になったとしても、マイクロソフトのほうに有利なようになってしまうため。
    講師からのコメント:
    TCP/IP も HTML も Microsoft のものではない公開された標準規格ですが、しかし Web ブラウザ 市場では Microsoft は圧倒的な勝者です。別のフォーマットが採用されたとしてもそれが公開された 標準規格である限り市場から閉め出されることはないと思います。それが標準の意味ですから。 それを越えて自社規格を入れたかった理由を考えてみたいですね。


  47. 記録媒体がDVDに集中している現状において、自社の技術を用いた規格を提供すれば、DVDの規格の中でも マイクロソフトの規格の役割が一番大きい、という事が理解され、その分利益の取り分も大きくなるのではないだろうか。
    また公開の場でつくられたフォーマットが採用されるとなると、ただでさえプログライエタリを保持してきたにもかかわらず、 自社のDVD規格における存在感が薄れるということを危惧したのではないかと考えられる。
    一方、NEC/東芝といった企業はもともとPCのOSすらMicrosoftの恩恵を受けているのに、 せめてDVD市場におけるおのおのの存在感をマルチメディア業界に出したいのであろう。
    講師からのコメント:
    存在感どころか、生死を分けるような実利が直接そこに関わっているということはないでしょうか?


  48. Microsoftとしてはパソコンの分野ではもう十分に市場を開拓して占有したので、 次に進出する分野を決めて多角化したい。その際、DVDという巨大市場に目をつけたわけだが、 DVD技術そのものを開発したわけではない同社にとってはWindowsのようにプロプライエタリとして 市場を占有する事は難しい。であるから、同社ブランドを上げ、DVD規格以外にもMicrosoft製品を買ってもらうなど 市場シナジー拡大効果を狙っているのだと思う。
    講師からのコメント:
    そうかもしれませんが、それ以上に直接的なアプローチを考える余地がありそうに思えます。


  49. 自社の作った技術が業界で認められるか否かはその会社の威信をかけたものであり、 その技術が認められて採用される事によってその技術分野においてイニシアティブを とれるため、マイクロソフトと東芝、NECの思惑が入り乱れている。

  50. NEC・東芝は今まで公開の場で作られた既存のフォーマットを採用するのは当然である。 それはNECや東芝が長年培ってきた自社技術であり、広く顧客に採用されてきたからである。 また将来的にもNECや東芝が別のフォーマットを採用するとすれば、 コストがかかり新規顧客を開拓しなければならないというリスクを伴うからである。
    一方マイクロソフト社はDVD市場に新たなフォーマットを提示したのは、自社技術を世界に広め、 広く採用してもらうことでDVDの新規市場開拓を狙い、独占しようという狙いからである。 またマイクロソフト社がIT関連で培ってきたノウハウをDVD市場で応用できるということも考えられる。
    講師からのコメント:
    H.264, MPEG-2 ともに NECや東芝の自社規格と言えるほど彼らが規格策定・実用化に参画していた ような気はしません。(あまり詳しくないので間違っているかも知れませんが)
    また、標準化というものは新規参入機会をそれほど小さくし過ぎない程度の技術的困難さで収められる べきものですので、回答者が想定するほど技術的ハードルは高くないように思います。 (もちろんある程度の障害にはなります。それは当然です。たとえば CDMA 技術における Qualcomm のように社命を賭けて技術開発している例もあります。ただ今回の H.264 や MPEG-2 はそうでもないように思います。)


  51. 規格の乱立は各社が利益を得ようとするために起こる。特に今回のケースでは標準技術が 他の分野にも応用される事が見込まれていて、HDDVD規格で標準化されることは、 今後の映像分野で多額のライセンス収入が得られることにもなる。 マイクロソフトやソニーが自社開発の規格を提唱しているのはこのためである。 一方NECや東芝は自社開発の技術が乏しく、MPEGなどのライセンスフリー技術を標準フォーマットにして 今後のライセンス料金支払いを避けようとする動きを見せている。
    講師からのコメント:
    はい、ライセンスの支払い関係の面ではそのとおりと思います。
    ところで会社の意志決定の中身までは分からないので、これは憶測ですが、SONY はライセンス収入を目的に 独自規格を乱発しているように講師は思っていません。そうした側面はもちろんあるにせよ、 彼らの規格の第一目的は性能のためと思います。より高い技術でより高い位置に誰よりも早く たどり着き、先行者利益を得たいのだと想像します。CDも 3.5inch FD も、彼らは継続的な ライセンス収入ではなく先行者利益を重視していたのではないかと。


  52. DVD市場をもMicrosoft社の独占化に置きたいと考えているから。
    日本におけるワープロアプリケーションはいまやほとんどMicrosoft社のWordによって占められている。 Just system社の一太郎シリーズは、コレによってほとんど立場を失ってしまった。 このような経緯もあるMicrosoft社がDVD市場という莫大な市場を見捨てる事は考えにくい。 プロプライエタリを貫いてきたこの企業が公開に転換しようとする背景にはMicrosoft社のアプリケーション の欠陥(例えばOutlookにおける情報漏洩)の連続による顧客離れへの対策が考えられる。
    講師からのコメント:
    本当に Microsoft が独占ではなく協調と公開を基調とした方向に進むのかどうか、 VC-9 は良い試金石と思います。この点は一年もすれば結果が出るでしょう。よく記憶して、よく再検討して 下さい。


  53. 1、マイクロソフト技術が承認されればセットトップボックスからプロ用ビデオや編集機器 衛星通信、家電まで幅広い分野での自社の技術力が(DVDフォーマットが互換性で)デファクトスタンダードになる、と 利益をもたらすと期待される。
    2、NECと東芝は自社デジタルメディア分野での取り組みが大きく前進する事ができると期待される。

  54. Windowsに適したようなフォーマットの場合、まだWindowsを使い続けることになって、 他のOSでは使いにくくなる。だからまたOSではMicrosoftの独り勝ちになってしまう。

  55. かつての「VHS対ベータ」の様に、自らの推すフォーマットが世界の標準規格になれば市場の中で持つ影響力が違ってくるから。またそのフォーマットに合わせて進めている自社製品の開発が無駄になってしまう。
    Microsoftは自社技術をプロプライエタリすることによって市場での主導権を握れなくなるのを恐れた。

  56. マイクロソフト社は現在、OS分野において独占に近いシェアを持っており、 またそのOSにはインターネットエクスプローラーやwindows media playerといった ソフトがバンドルされている。これらのソフトは基本的に無料であるが、ほとんどのPCユーザーがこれを利用する。 マイクロソフト社はOSを基幹としてPCのあらゆるユースにおいて自社製品を使用させる事に力を注いでいるため このHDDVD規格においても自社の技術を利用することによりWMPなどの 今後のシェアにも有利に働くと共にそこからOSの売り上げにも好影響が出る可能性があるから。

  57. マイクロソフトの圧縮技術が承認されることで、この分野でのマイクロソフトの信頼性が1社だけ高まる事になる。 マイクロソフトがこの分野でリードすることになれば、これから先のフォーマットにおいて マイクロソフトがプロプライエタリな物とする可能性がある。
    講師からのコメント:
    もう一歩踏み込むと面白い回答になったかも知れません。どのような過程を経れば彼らはプロプライエタリな状況を 作ることができるでしょう?


  58. 承認されて生産される事になったときに、自分たちが推したフォーマットが通っていれば 今まで培ってきた技術や知識が無駄にならずにすむため。

  59. マイクロソフトはウィンドウズでOs市場における独占的地位を確立したが 現在では政府向けOSはリナックスがかなり台頭している。
    つまり企業思考の製品作りであり、顧客思考の製品ではないため、無料かつ公開されている製品へシフトしている。 このようなことからマイクロソフトは自社の規格を普及させるためにもWindows Media Series9へ進出したと考える。
    一方NEC/東芝はロイヤルティも支払わないで自由な開発競争ができる安価にすることが可能である。

  60. 公開し、承認される事で、マイクロソフトはその技術自体での権利は失うけれど、 その技術開発力は全世界に認められる。「元々のVC-9の規格」を作った会社の製品であるという信頼性がつくので 製品は良く売れるようになる。つまり、今のあくまでもIEの世界だけでなく、家電(ビデオ・テレビ)等 多方面へアプローチしていくきっかけにもなり、影響力を強めていく事になる。
    よってNEC/東芝等が自社の持つ市場にマイクロソフトが参入する(もしくは発言力を強める)事を恐れ、 VC9ではなくMPEGを支持するのも当然である。

  61. 今までのように、自社の技術をプロプライエタリとして公開せず、自社だけで使う事よりも フォーマットとして承認され、幅広い分野で使用される事により自社の信頼が高まる事に他の分野にも 進出しやすくなる事の方が将来的に期待できるから。

  62. 東芝やNECだけでなく、マイクロソフト以外の企業は、公開の場で作られたMPEGのようなフォーマットで統一された方が 互いに優位性がなく、純粋な競争ができる。しかしマイクロソフトが独自に開発したVC-9が業界標準と決まれば、 かつてのVHSのように圧倒的な優位が確立されるので、他社には当然不利となる。 マイクロソフトにしてみれば、標準規格として認められるメリットを考慮すると 自社技術が公開されてでも、今回の決定が望ましい。

  63. マイクロソフトがVC-9を推し、東芝やNECがそれを嫌がるのは習熟の効果が関係しているからではないだろうか。 今まで使っていた規格が変われば既存のデータを応用することは難しいだろうし、 その規格に対する慣れもあるからである。