音楽配信について、また家庭に入りこんできたデジタル情報家電機器がもっている課題、可能性について認識が新しくなったこと、変わったことなどについて書いて下さい。
(簡単に箇条書きで結構です)
音楽配信のことを二週にわたって説明してきたわけですが、それについて自分がどのように整理し、理解しているか、ゆっくり書いて貰えればよいと思っていました。 全体的に非常にしっかりした意見が多く、興味深く読ませて貰いました。
ビジネス的な側面から見れば、今に限らずパソコンでの MP3 化、MD へのコピーなど、結構前からハード提供側とコンテンツ提供側はその著作権や売り上げへの影響などに関して衝突を繰り返していたように思うが、地上デジタル放送によるメディアの提供の変化、パソコンのさらなる高性能化、HDD レコーダー、DVD レコーダーの登場によるユーザーのコンテンツの使い方、保存の仕方の変化が、更にこの問題を大きく複雑にした。
特にコピーによるCDやDVDの売り上げの低下はメディアを提供するメーカーから見ればかなり大きな問題で、この面での衝突はものすごいことになる。たとえ売り上げの低下が違法コピーでなく、メディアの媒体の変化によるものだとしても、それは大して変わらず、やはり死活問題だと思う。
iPod をはじめとするメモリーオーディオの登場は、この問題に油を注いだように感じる。ユーザーから見れば便利なポータブルオーディオだが、メーカーから見ればさらなる問題の登場に思えるだろう。
iPodの購入も考えていたが、いまはDRMの問題でかなり混沌としているので、もうすこし待って落ち着いた頃に適切なものを買いたいと思った。
講師からのコメント:
メディアや提供手法は、デジタル化によって非常に柔軟に選択可能になりました。アナログ時代(例えばレコード)と異なり、それを実現するために確保しなければならない物理的な存在がほとんどソフトウェアで代替可能になったからです。(例えばプレス工場、印刷工場、倉庫、配送網、販売チャネル、店舗などが全く不要になった。)
受講生が示すような衝突は、従来的にはそれぞれの物理的な存在ごとに発生していたわけですが、今後も従来通り、新たなメディアや手法ごとに新たな衝突が発生するような状況では、最終的に課金システムや禁止事項、ビジネス的な条件設定が複雑になりすぎて破綻してしまう可能性があります。
では、このデジタル時代、メディアや手法が自由に実装できるようになった現代に適したビジネスモデルとはどのようなものでしょう?結局我々は、その構築を迫られていると言うことではないですかね。
・認識の変わったところ
・友人、新聞などでみて、ドコモでは au では、とそれでしかきけないものがあるのはしっていましたが、私はこれはいずれ音楽業界全体でどんなハードでも、どんな曲でも互換性を持たせて聞けるようまとめ上げていく方針をしていて、それで今はごたついている所なのだろうと思っていましたが、今それについて議論中であることや、業界(CD、曲、ハード)などで利害のためにこれほどごたついているとは思いませんでした。お話をきいたかぎりでは解決に時間がかかりそうだと思いました。
・音楽販売の要素
・先生の授業で出てきたように本なら内の文字情報が、今までCDを買っていたものにしても、内の曲のデータがほしいというのが 20-30代??のこれからの消費者のメイン要素だと思います。要素としては iPod、けいたいのようなハード(技術、物理的面)、ダウンロードできる内容(ソフト面)さらに一曲ごとに幾ら著作権者に支払うか、支払わなくて良いか?(法律、権利面)この三つの要素があると思います。
講師からのコメント:
ちょっと説明が断片的で漠然としすぎましたね。
箇条書きで挙げる、ということと、漠然と書く、ということは別のことであるはずです。もうすこしうまく列挙できたのではないかと思うとちょっと残念。
・音楽配信の注目する先にはネットワークを通じてのデータ配信(音楽に関わらず)があるとは新しい見方でした。
そして、音楽配信に関して賛成派と反対派の企業の意見などを聞いて、それまではただ単に「音楽配信はより進めるべき」と思っていたので、もっといろいろな方面からの視点で考えなければ成功は得られないと、あらためて難しさを感じました。
・少し前に「コピーコントロールCD」が流行したが、今まではパソコンでCDを再生することを認めたというニュースを見ました。このことでCDはCDプレーヤーでしか聞けず、PCなどでの再生は認めないというハードの限定は今の時代に合わないものだと感じた。今はより多くの製品で共通のネットワークを持つので、PCだけをそこから外して考えるという考え方は合わないものだと思う。
講師からのコメント:
興味深い意見をありがとうございます。まず音楽に限らないデータ販売、ですが、確か KDDI が「着ムービー」をやろうとしていた(もうやっている?)と覚えています。今年の 1 月の家電商品の展示会でもそうしたムービープレイヤーがあちこちの会社から出ていました。(展示会は US でしたが日本企業が多く出していました)
時期を同じくして出た任天堂の DS は単なるゲームマシンですが、SONYのPSPは Giga クラスのデータが入るディスクを採用し、ゲームマシンとしては過剰とも言える大型かつ高品質なディスプレイをつけています。これがなにを意味するところか、おおよそ想像が付くと思います。つまり SONY は 1000 万台規模で国内に出荷されるポータブルな映像表示端末マーケットを自社の腕の中で展開するつもりなのです。(まあ最近の SONY はそうした大胆な切り込みと後の展開の一貫性が弱いので成果はいまひとつかもしれませんが。)
ともあれ、さまざまな媒体でコンテンツに触れるようになるのが現代である、コンテンツが主体でメディア・デバイスを鍵にするべきでない、という受講生の指摘は全く適切と思います。ではそれらを結ぶネットワークはどのようなものでしょうか?Internet そのものでしょうか?それとも何かそれとは違うものでしょうか?
CDが売れない、音楽はダウンロードする時代が訪れているのは何となく気づいていたが、僕は CD のケースに触れて、ジャケットを見て、歌詞カードのデザインを見ながら音楽を楽しむのが好きだ。たぶん CD はレコードのようにすたれていくのだろうが、僕は今まで通り CD で楽しんでいきたい。ただ CD は売れなくても音楽全体の売り上げが伸びているのには驚いた。音楽に対するふれあい方が多様になってきたのだろう。何にしても気軽に音楽とふれあい、楽しめるようになるのは素晴らしいことだ。
講師からのコメント:
主観的にすぎる意見となってしまったのが少し残念ですね。
CD はレコードと違って、プレス数が少なくても、小さな工場でも成立する製造業(とは言わないが)となるかもしれません。
電子メイルが普及しても電報はなくなっていません。
そうした周辺のことと、自分のジャケットなどの付加価値をつけた商品としての音楽パッケージの可能性をハカリに掛けるような意見を期待します。
・今までデータのコピーに関して、単なる違法なものだと思っていたが、コピーを完全に否定すると私たちの生活で考えられる快適な部分もかなり制限されるのだと知った。
・企業同士で競って、不便なシステムにして景気を上げるか、企業同士で協力して快適な生活を作り上げるか、今後の方向性が気になった。
講師からのコメント: 不便なシステムになっては景気は上がらない(ビジネス的に成功しない)のですが、まあとにかくコンテンツを持っているものと消費したいものとの間の綱引きは今後しばらく多くの分野で発生しそうです。 注意深く観察しておくと良いでしょう。