Yutaka Yasuda, Kyoto Sangyo University

レポート:よりデジタルな放送形態


講義中に説明した地上デジタル放送について、よりデジタル化の利点を生かす方法はないだろうか?ということで簡単なメモを出して貰いました。

講師から

講師の説明が良くなかったものと見えて、目立つ回答が少なかったようです。
パソコンでやる方がむしろ向いていそうなことをあげる回答がいくらか以上ありました。

少し復習しておくと、結局デジタル化といってもデジタル的な要素をあまり活かしておらず、テレビというスタイルに制約されているように見える、という意見を講師は出していました。

  • 画面サイズ(画素数)、フレーム数(秒間コマ数)などを番組内容に応じて自由にしてはどうだろうか?(完全に自由にできないまでも、幾らか以上用意したらどうか)
  • 補助的なデータを多く入れて、録画したりする際(つまり人間が目で見るのではなく、その放送をコンピュータが自動処理する際)に様々な応用が利くようにできないだろうか。

    つまり「枠組みとしてフォーマットに自由度を設けて欲しい、あとは利用する側が考える(最適化する)から」という方向です。 言い換えれば「放送局は 120Mbps でデータを放送すること以外に制約をなるべくつけない」ということです。
    講義であまり強調できていなかったと反省していますが、結局のところ、テレビ放送、という枠組みで最後まで残るのは「120Mbps でデータを(ある地域に)一斉に届けるというスタイル」ではないかと思います。



    以下に提出されたレポートをそのまま打ち込んだものをつけておきます。 赤字は講師からのコメントです。


    パソコンみたいにネット接続ができて、買い物やオークションなどしたり、自宅周辺の情報を検索できたりすること。


  • チャンネルが増えたところで、今ですら興味を引く番組が無くなっているというのに、本当に増やす必要があるのか疑問に思う。
  • 高画質・高音質であることに意味はあるのか。外国のきれいな風景を見たいとか、オーケストラの素晴らしい音を聞きたいというのであれば CD/DVD を買えばいいわけで、スポーツ観戦の臨場感を感じたいなら、それこそ実際に見に行けばいいと思う。
  • TVであることの意味はニュースなどの情報はインターネットが普及した今、その環境がある人なら簡単に手にはいることが出来る。しかもTVはTV局が収集、整理、加工した一方的なものであるが、インターネットは様々な簡単からの情報を見る人の視点で取捨選択できるわけで、TVであることの利点は余り無いように感じる。
    ならばTVがデジタルになることで一体どんな利点があるのか。
    講師から:
    上記はTVの可能性について、否定的な面をとりあげてくれているわけですが、恐らくそれと同じくらいの肯定的な面も考えられると思います。
    しかも問いは「デジタル化するとしたら」どのような可能性があるだろうか、というもので、TVそのものについての可能性(価値)について問うたわけではありません。
    ちょっと話がずれてしまいましたね。


  • テレビである以上視覚を通して入ってくる情報が多いので、画質が上がるならそれに越したことはない。デジタル化によって画質が向上するなら。
  • 新聞の「テレビ欄」なんてのはいかにもアナログなのでなくてもいいようにするとか。
  • インターネットで見る動画の××(読めませんでした)、自分が見たい時に見たい番組を見れるようにする。


    災害などがおこったときに表示される字幕などを録画した映像にだけ映らないようにする。
    講師から:
    アナログシステムで実現できないこともない、という意味で微妙な話ですが、はい、そういう補助的な(比較的小さな)データを送って、コンピュータに処理させればこんなことができる、という部分はいろいろ可能性があると思います。


    受信した番組としての「データ」をあまり生かしきれていないと思う。
    講師から:
    そう。そのあたりをもう少し追求して書いて欲しいです。


    まずハードウェアを選ばないという点から携帯電話での高画質な放送が期待できる。
    今のパソコン通信のように送信側へのアンケートや意見を出すことが出来る。
    講師から:
    後者についてはある程度いまの地上波デジタルでも考えられているようです。 どの程度成功するかはかなり怪しいと思うのですが、、、


    過去に放映された番組を配信できるようになる。
    アナログではネットがつながっていなかったりして再放送という形で過去の番組を放映していたが、アナログをデジタルデータに変換することによって、いつでも好きだった古い番組を見ることができる。
    講師から:
    はい。デジタル放送になったら、ぜひ放送データそのままの品質でアーカイブ(蓄積)して見られるようにしてほしいです。
    アナログのテープが古くなって劣化した状態でようやくアーカイブしても手遅れ感があります。勿体ない。。。


    車とか電車などの運転もデジタル化して機械まかせにできたらいいと思う。
    講師から:
    ???


    他の地方の放送を見れるようにする。(例:京都で九州ローカルの番組を見る)
    NHKの放送を会員制にする。月額を支払った人だけ入会できるように。


    デジタル放送にするのなら地方のテレビチャネル数を増やして欲しい。 画像だけでなく別のものも。ソフト的なDL(ダウンロードの意か?)も。
    講師から:
    地方の放送については一つ上にもありましたが、多チャンネルがこういった方向に働きかけるかどうか講師は情報がありません。
    実際そうなっていると良いのですが。(難しい要因も多く想像できる)


    他国で放送されている番組もそのまま見たい。
    見逃した(録画し忘れた)番組も見れるようにして欲しい。
    講師から:
    前者はともかく、後者は「見逃した人向けにインターネットで再放送」するところが出始めていますね。(但し海外の有料テレビシリーズ。つまり見逃しによって顧客が離れるくらいなら、インターネットで見て興味を持って貰って顧客が増えた方が良い、という動機。)
    ただあまりデジタル化とは関係ないです。少し上の意見にコメントしたような、過去の番組のアーカイブを放送時のデータから簡単に作成することができる、というメリットを生かした仕組みを作って欲しいとは思いますが。


  • 録画の媒体を増やせるのではないか。それによりDVDプレイヤーやビデオプレイヤーなどの存在を減らせると思う。
  • 双方向性を活かして地域(コミュニティ)のつながりを強める道具にしてはどうだろうか。ex. 110 番、119 番機能を付ける。
  • テレビの存在をほぼなくす。(画面が有るもの・無いもの)
    講師から:
    最初の意見は面白いもので、つまりメディアを自由に選べるのではないか、ということですね。なるほど。


    デジタル放送と言っても相互通信にはインターネット回線を使っているのでは意味がない。やるなら完全な相互通信を目指すべき。
    EPGにしてもアナログでも何ら問題なく受信している。EPGの画面には宣伝の画像もテキストも受信している。それならばアナログ放送にデータ通信領域を追加するだけで良かったのではないか。ワンセグにしても別領域である。それと何故変換をそれほど急ぐ必要があるのだろうか。白黒→カラーの時は顧客に積極性があり、時間的余裕があった。しかしデジタル放送は8年という短期間での強制的な変更である。
    これは政府の家電業界と通信業界への優遇政策に他ならない。また、低所得者と高所得者の情報格差を拡大させることになる。
    デジタル的な要素を求めるならば、PC で充分だと思う。テレビ据え置き型のPCも最近多くでている。タイプXとか。
    講師から:
    テレビの地上波デジタル放送はインターネット回線は使っていません。何か誤解させるようなことを講義で口走っていたら申し訳ない。アナログの EPGでもある程度はデータ記述ができますが、私が講義中に言っていたような大量のキーワードを埋め込むのは無理があると思います。せいぜい人間がパッと見て意味がある程度の情報量に向いたものと思えます。
    カラーテレビへの移行と異なり、時間的余裕を持たせられないのはアナ・アナ変更のところで出ていた「電波資源が有限であるためにアナログ放送とデジタル放送を長期間にわたって併存させられない」という事があります。カラーテレビ放送はカラー放送電波と白黒放送電波を同一のものとして利用することで長期間の併走が可能になりました。同じ放送電波をカラー受像器で映せば色が出て、白黒受像器で映せばモノクロになるのです。(これはある意味曲芸的な技術で、こうした共用を考慮しない電波方式の方が色の再現性が良かったはずです。そして移行は楽になりましたが、事実上モノクロの受像器が無くなった今でも、この色再現性の余り良くない電波方式を使い続けなければならない、という負の遺産となって残りました。このあたりの得失は両方ありますね。)