Emacs ガイド
1. はじめに
ここでは Emacs の簡単な使い方についてチュートリアル形式で説明します。
ここでの説明は用語や表現について厳密ではないことに注意してください。網羅的なものでもなく、部分を取り上げて曖昧に説明しています。Emacs にはメッセージや表示、動作について、多くの用語が決められています。ここでは専門用語を使い、その細かな定義や概念の説明をすることを避けていると理解してください。
教材として利用される方は「Emacs の起動と終了」から「編集結果の保存」までを一通りなぞれば、最初の Emacs に慣れるコース教材となるでしょう。独習として読まれる方は「チュートリアル機能」以降も一通り目を通すことを薦めます。
Emacs には多くのオンラインドキュメント、書籍があります。慣れて行くにしたがって自分でマニュアル、書籍、ネットワークなどから情報を常に取り込んで理解を深めていくことが大切です。
1.1 Emacs について
プログラムも、Web ページも、その中身はテキストです。言い換えると多くの Unix 上での作業の非常に多くがテキストファイルをエディットすることに相当します。つまりテキストエディタは Unix システムで最も多用する道具としてのソフトウェアだ、と言えるでしょう。
Emacs は非常に多くの Unix ユーザに好まれているテキストエディタです。
Emacs はまた非常に歴史のあるソフトウェアで、そのルーツは 1974 年に TECO エディタをベースに当時 MIT にいた Richard Stallman が開発に取りかかるところまでさかのぼれます。
Emacs 最大の特徴は、その動作の多くが Lisp によって書かれており、これがユーザに自由に改変できる形で提供されている点でしょう。
そのため多くの機能追加(例えばエディット中に英文の綴りミスを調べるスペル・チェッカーなど)が従来から行われています。
同じ理由で利用者ごとのカスタマイズ(例えばよく使う機能を特定のキーに割り当てるなど)もよく行われています。