レポート:なぜ今、こうした変化が生じているのか?

クラスでは以下の二つについて紹介しました。 を示しました。 その上で、「なぜ今、こうした変化が生じているのか」ということについて簡単に書いてもらいました。 5分ほどで回収しましたが、以下はその全文です。(氏名は伏せています)
他の人の思考などを参考にして下さい。

講師から

読ませて頂きました。短い時間にいろいろ書いてくれてありがとう。 この場に書くと視点が固定されて良くないかも知れませんが、私自身のこの問いに対する意見を 出しておきます。自分の考え方を左右されないように意識しながら読んで下さい。
レッシグ教授の提案は、基本的に流通のコストを下げる事が目的です。
非常に多くの人たちが発信する情報を、非常に多くの人たちが受け取る(アクセスする)ようになった ために、その流通コストが文化の発展のために(人びとの情報交換のために)大きな障害となってきて いるという指摘です。
少数の人たちしか情報発信しない世界では、少数の人たちに利用の可否を確認すればよいので問題は ありません。少数の人たちしか利用しないのであればまた問題が小さくなります。
しかしここ数年、コンピュータとネットワークが普及したことによって、そうではない状況になり ました。これが「今」そうした動きが出ている理由でしょう。(記述時間5分)
時間を制約したので私自身、書き切れませんでしたが、もう一点、情報発信のコスト、情報受信 (アクセス)のコストがコンピュータとインターネットのために極限まで下がりつつある、という ことも加えるべきでしょう。

他に、ざっと以下のような事を感じました。

受講生からの回答

全文、原文のままですので、誤字や途中になっているものなど多くあります。

  1. インターネットが普及し、多くの人たちがデジタルデータにアクセスする事で、著作権という意識が良くも悪くも薄れてきているためではないかと思う。たくさんのデジタルデータを見ることで、自分の考えをより高度なものにしたり、改良することによって更なる向上を目指すことができるためではないだろうか。
    講師からのコメント:
    ユーザが機械を通じてアクセスする量が上がってきた、という事に注意が向いているところは良い視点です。 意識が薄れている、ということについては Yes でもあり、No でもあるというように講師は思っていますが、 なぜ「今」なのか、というところについて考えると良かったかと思います。

  2. 現在、音楽CDのコピー禁止などという、人が作り出した作品の権利というものがとても重要になってきている。著作権があるからダメ!!とかいわれていても自分もそれを無視してしまっていることもある。著作権を侵すということは犯罪になることもあるから、私たちはそれを再認識すべきではあると思う。

  3. 何故ローレンス・レッシグが今現在「文化は誰のもの」として訴えかけているかについて私は、いくつか思うが、そのひとつとして世界経済の不況が挙げられると思う。たとえば著作権を持っている人がローレンス・レッシグの提案するマークがあれば、利益を得ることをあまり考えておらず、BY:マークをつけるかもしれない。ディズニー・・・。
    講師からのコメント:
    不況との直接的な関連を講師は思いつきませんでした。 逆に興味がありますので、もうすこし説明をまとめてくれれば良かったかと思います。 時間をあまり出せずに申し訳ない。

  4. 記事の中にあるレッシグの言葉から、ディズニーのような著作権があると“文化”が発展していかないからだと思う。「自由に使える先行作品が多いほど創造性が高まる」というのはたしかにそうだなと思った。著作権についての知識がないので、よくわからないような・・・
    講師からのコメント:
    彼は単にミッキーマウス保護法であるとして反対しているだけではありません。 むしろその次の動きとして記事は紹介されていますね。

  5. デジタル化が進んだことによりHPなどで作品が転載されることも容易になったので、それまでの著作権だけでは対応しにくくなるから今著作権問題が出た。対応しにくくなるというのは、法的な権利の問題だと思う。
    講師からのコメント:
    うまく記事と問いの関係をとらえていると思います。 ただ漠然としすぎているので、もうすこし具体的な説明ができると読み手に正確に伝わるかと思います。

  6. 僕はそもそも「コモンズ」っていう言葉の意味がよくわからないけど、著作権の期限が切れることによって、損害が出る人たちがいるなら著作権法を変えればいいと思う。製作者の死後50年経っても製作会社が昔から現在、これからもずっと必要とするなら(利害が関係してくるなら)他者に無断で使わせなければいいと思う。

  7. 第一にやはり、流通をスムーズに行うことを目指しているのだと思います。ミッキーマウスの様に商業目的の意味が強い物も有りますが、作者が自分の作品だと証明して欲しいだけの場合もあるかと思います。しかし、現行の法では後者の物を他の人が使ったり人々に広めるにもいちいち作者に許可を取ることが必要で、たいへん効率が悪くなっています。簡単に言えば、教育などで使う場合に、作者の許可なく、作品を使うことが可能なことがありますが、それを作者が許した場合、他の使用時にも広げよういうことです。後、死蔵〜

  8. ここ2年間ほど、デジタル社会において「著作権とは何か」という議論が過熱を帯びている。何故そうなったかをいうのは非常に長くなってしまうので割愛するが、キーワードとしては検索エンジン、スキャナなどによる印刷物のデータ化、そして1秒ごとのデータ送受信量が増え、どんどん肥大化するネットワークがある。これらにより、昨今では誰しもが他人の著作権を侵害しうる。しかし一度サーバーにぶんしょうをアップロードすれば、本人が著作権を認めていようがいまいがマウスに
    講師からのコメント:
    書きたい事と、時間とのバランスを考えて書くと良いと思います。 記事の内容と、このクラスで取り上げている「文脈」と、設定された時間とのバランスを考えれば、受講生が答えようとしている 切り口とは異なる切り口に焦点が当たっていることがわかると思うからです。

  9. 今これだけ広がっているネットが今後もさらに普及していくと思い、さらに普及するということはより多くの情報がネット上に流れることになる。そうなれば、今はまだそこまで大きな問題になっていなくても、いずれは大きな問題になると考えられるので、今のうちから解決策を考案すべきだと思ったから。
    講師からのコメント:
    非常に的確な意見にも読めますが、全く逆にも読めます。 なぜなら「流通コスト」について触れられていないからです。 流通量が爆発的に増えた時の、著作物単体の流通コスト。それが問題の焦点だと講師には見えています。どうですか?

  10. 「文化は誰のもの」の話をやっていたのは、情報の世界に対して著作権のことを分からせると思います。法律的には著作権があるけれども、具体的にはないと思っています。たとえばともだ

  11. もしネットワーク上で他人の創造したものを運用する蔡に著作権による保護やそれによる料金の発生が本気で話されだした場合、ネットワーク上を通過しただけで金がかかることになってしまう。ディズニーがミッキーを死守しようとする気持ちは良く分かるし、ポカホンタスやノートルダムの鐘の作者にその作品を持って大きな数の従業員をやしなう気もなかったろう。金を取りたい人は取り巻くってとらなくてもいいと思っている人は手放してというシステムがあればやりやすい。
    講師からのコメント:
    なぜ、それが今、なのでしょうか。

  12. 自分は“自信”さえあれば著作権はある程度期限があればその後延長する必要はないと思う。確かにディズニーの場合、キャラクタービジネスができなくなるというが、今まで通りディズニーのミッキーであれば営業に差し支えないと思う。ただ他の企業が勝手にミッキーを使うというだけで、ディズニーのミッキーは唯一無二の存在でしかない。

  13. 情報が多く流れ出し、共有するチャンスがある中で、権利という規則でしばってしまうより、それらを共有することでそこからよりよいものが発展する機会を与えるべきだという考えが出てきているから。
どうですか?全体に問いから離れて、それとは異なる「感想」を書いているケースが多くなかったでしょうか? 次回からは問いの内容を忘れないようにすると、よりクラスで取り扱っていることが理解しやすくなると思います。 クラスでは 90 分の中で、半期の中で、それぞれテーマと文脈があるからです。
Yutaka Yasuda (yasuda@cc.kyoto-su.ac.jp)