レポート:デジタル化の価値は何か?
クラスではデジタルデータの実際のかたち、作り方などを示し、数値化(符号化)することでどのような点が良くなるのか、それは何故か、ということを具体的な例と共に示して欲しい、というお願いをしました。
講師から
デジタル化による利点はクラスで話したとおり、複製可能性、データとメディアの独立、といったところにあると講師は考えています。
受講生からの回答を見ると、非常によい点について指摘しているものもありますが、どちらかというと漠然と「デジタルって良いんだ」という印象だけを書いている傾向を感じます。
自分の思考をまっすぐ書ける事(書ける程度にはっきりさせること)は重要な事です。
せめてこのクラスの間だけで良いですから、ぼんやり、ではなく、はっきり説明できるように考える傾向に自分を振ることを勧めます。
受講生からの回答
全文、原文のままですので、誤字や途中になっているものなど多くあります。
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CD・DVDで、
数値さえあれば量産して一般の人にアナログよりもコンパクトで、全く同じ、個々によって
品質の差がない物を提供できる。
講師からのコメント:
通常の量産の範疇に収まりきらないことが「完全な複製」から生まれていることをクラスでは指摘していましたね。
コンパクトさについてはアナログかデジタルか、ということについて直接的に違いが出る部分ではないと講師は考えています。
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例:印刷技術等は、モノを複製するという点で、デジタル技術であれば、
まったく同じ物を複製する事ができる。
講師からのコメント:
具体的にデジタル化したことによって大きく変化した印刷技術が例示されていると良かったのですが、何かないでしょうか?
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音において カセットにとっていたものがMDにとるようになって音が変質しなくなった。
映像でもVHSからDVDへの以降で保存しやすくなった。
フロッピー??
思い浮かびません・・・・。デジタル化・・・・。
講師からのコメント:
音の劣化がなぜ起きなくなったのか、という理由を少し説明してくれると良かったと思います。本質的には良いところを指しています。
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何がデジタル化によるメリットなのか?
・様々な情報(映像、音、ソフト、書物など)
・簡単に保存、再生、複写が出来る
・アナログと違い精度が高い
→数多くの情報の利用に対する利便性を高める
講師からのコメント:
そういったメリットが、デジタル化の過程、結果のどこから生まれているか、ということが示されていると更によかったかと思います。
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会社などの顧客情報が、
アナログだと、紙に顧客の名前・住所・電話番号を書いて、保存していると、量が多くなり
保管する場所がいくらあっても足りない
けど、デジタルにすると少しのスペースでより多くの顧客の情報が保存できる。
講師からのコメント:
そうでしょうか?デジタルだと小さくなる、という理由は何でしょう?
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印刷機器がデジタル化によって、印刷する速度、精度ともに
アナログの物より大幅に上昇している。また人の手間がかからなくなっている。
版画など昔は一握りの職人にしかできなかった。
講師からのコメント:
具体的にそうした例を一つでもあげて頂けると良かったかと思います。
というのも、版画から出版へという変化は確かに大きなもので、グーテンベルグの事例が証明しています。革命です。出版のデジタル化がそうした革命に比べてどの程度のスケールなのかを考えるためにも一つでもいいので例があがっていると良かったと思います。
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・持ち運びがコンパクト ←アナログよりもたくさんのデータをつめ入れる
・正確である。
・いろいろなハードに対応できる ソフトを作れる
・データーのやりとりができる。 情報をデジタル化して通信したり出来る。
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・いろいろなファイル(音楽・映像・文章・画像・・・)が
保存(間違わない)・ふくせい(コピーで・・・素早く)・
持ち運び(フロッピーとかで。ネットを使っての送信など)で便利。
・コンピューター(パソコンとか・・・)に理解(?)させれる。
・数値で表せるので、比べ易い。
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デジタルカメラは写真を撮って現像する時に、ピクセル数を多くする事により画質がきれいになっている。
講師からのコメント:
おそらく精度の高さはアナログかデジタルかと直接関わらない部分だと思います。デジタル形式であれば画素数を上げる(サンプリング精度を高める)しかないので受講生の言うような結果になります。つまりそのメリットではありません。
例えばアナログカメラで精度を上げるときはフィルムの感光剤の粒子を細かくします。これは画素を多くするのと同じ事です。デジタルだから、アナログだから、という部分での違いはあまりありません。
デジタルカメラは良い題材です。何がデジタル化による最大の恩恵でしょう?
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・音楽で、CDなどのデジタル化をする事により、くり返し再生することによる音の劣化(音質)を少なく出来る。いつも同じ音で聞くことが出来る。
・コピー時の音の劣化をへらせる。
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・文書 写真等のデータ
・保存・管理
・デジタル化して、記憶媒体に保存しておく
・記憶媒体の不具合以外での劣化がない。
複製が容易、手を加えやすい。
講師からのコメント:
再加工の容易さは確かにデジタル化の良い点です。これは複製可能性の高さと実は同義です。ある時点で複製をとり、それを加工し、失敗してたらまた元に戻れるからです。
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レコードより、CDやMDの方が
音質やサイズ、容量の点で
上回っている。
これがデジタル化による利益。
講師からのコメント:
結果としてはそうなっているかも知れませんが、何故そうなるのかという説明があれば良かったかなと思います。そうでないと例えば「レコードの規格が決まったのはCD や MD よりずっと前なので、音質、サイズの点で(技術的に)劣っているのは当然では?」という意見に答えることができません。
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写真などの画像情報を半永久的に劣化させずに保存できる。
また、複製品を簡単に作ることができる。
これは音や動画についても同じことがいえる。
講師からのコメント:
良いところをついています。半永久的に保存できることは媒体寿命の問題が大きいかと思います。デジタル化の最も重要なことは完全な複製が取れるために、メディアが壊れたとしてもそれを乗り越えるために新しい媒体に複製を取ることができることです。つまり受講生の指摘は講義で話していたメディアとデータの分離についてまっすぐ指している、良い例だと思います。
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・どのようなものが・・・デジタルカメラ
・どのような点で・・・すぐにパソコンに取り込める。
・どのように・・・取り込む事で、専門のショップとかに頼まないといけなかった事が、
自宅で作れるようになる。(カレンダーなど)
・デジタル化の恩恵を受けているのか?・・・・