レポート:IP 電話について

IP 電話サービスがこのところ非常な勢いで普及しています。 利用者にとって最大のメリットはその価格の低さですが、では IP 電話サービスが安い価格で提供できるのは何故か、その主要な理由を説明してください。

講師から

これは端的には汎用設備を流用しているから、と言うことができるでしょう。
IP 電話は中継型にせよEnd to End 型にせよ、インターネットで利用されている経路や設備を流用する形で実現されています。 特に End to End 型では IP 電話用に特別に設計されたものはせいぜい非常に安価なスプリッタ程度(アナログ電話機を接続するための若干の電子回路)で、それ以外の部分は既存の ISP が提供しているインターネットサービスのための設備をそのまま使っています。
こうした事ができた根本的な理由はデジタルデータが汎用(さまざまな用途に使える)ものであり、インターネットもまた汎用であり、その処理端末である PC が汎用であったからだと言えます。
実際、インターネットのインパクトは、それが汎用に使えるデジタルデータ処理システムであった、という点にあります。 そのなかで、新しいさまざまなサービスがインターネットをインフラとして利用する形で実現されていくのです。 今後もさまざまなサービスがインターネットをインフラとして利用する形になっていくでしょう。 IP 電話はそうした例の最初の世代のひとつではないかと思います。

受講生からの回答

全文、原文のままですので、誤字や途中になっているものなど多くあります。

・IPが安い→つまりデータのうけとりもと(送信者)の方はNTTなどで各自に用意されている。各業者はこれの用意の必要がなく、PCなどで既存のケーブルを使い、PCのデータの送受信と同じようにデータをおくえるため、PCでは距離に関係なく日本は値段が全国一律なので値が跳ね上がることがない。

講師からのコメント: なぜ距離に関係のない課金になっているか、ということにも注目するとより良かったかと思います。

・インターネットを使うため、素早いデータの処理が可能となるので、通常回線よりコストを減らす事ができ、安く出来るから。従来の設備よりIPの設備の方が安いから安く出来る IPは2億円程度で設備を用意できる 汎用…一般用 汎用設備を利用しているから

講師からのコメント: インターネットでなら**な処理が可能であるため、という説明(例えば高速な、または安価な、といったこと)をするのは余り良くありません。Intenret というマジック・ワードがあるわけではないので、余り根拠にならないからです。 設備が安いのなら、それが何故かということを説明してくれるとありがたかったです。

・すでに存在するインターネット回線を利用するので、事業としてコストがかからないので。

・インターネットで音声のやり取りをし、NTTなどが配置した通常の電話回線や交換機を一部か、まったく使わずIP網でつなぐから。

・これまでの電話に必要だったNTTの回線やそれに接続するための機器が中間にインターネット網を利用しているため 今までのように距離に比例してかかっていたコストを低くおさえられるため。

・IP電話はNTTの交換機と交換機の間の長距離を通常の電話回線ではなく、原則的に料金の発生しないIP網でつなぐので通話料は安くなる。IP網はパソコンや接続機器は必要ないため、運用コストが安くなるため、料金は汎用性のある大量生産した設備を使うため安くなる。 汎用設備を流用してるから。
 ADSL   1.5Mbps 150.0000
 ダイヤル 64Kbps   6.4000  音声は32〜64Kbpsで十分。

講師からのコメント: 後半の数字などは講義で私が示したものですね。自分の意見と板書の結果が混じってしまったようです。次回からは自分の意見だけを書いてくれるとありがたいです。

・すでにあるインターネットのネットワークが利用でき、維事費などが会社にかからない。通信に必要な機器は利用者負担。高速化した通信において、人の声のデータに必要なデータ量は、動画などに比べればほぼ無視できるほど小さい。

講師からのコメント: うまくまとまっていて良い回答と思います。私もこうした短い説明ができるようになるよう挑戦しているのですが、なかなかうまくいきません。

・インターネットサービスが今は普及していて、汎用性があるので、情報をディタル情報にするための機器を客が買いさえすれば他は追加設備がいらないので電話回線を使うより安い。基本設備の流用がきくから。インターネット接続機器が大量生産されているため、コストが安い(NTT交換機は特注なのでそれに比べると格段に安い)。

・IP電話はどれだけの距離で通信したかによって、料金計算をされていないので、安く利用する事ができる。NTTのたんまつに手を加えて、NTTより少しやすい価格に設定していたり、特別なたんまつを利用して通信を行っているので、あまりお金がかからない。デジタル化された情報を送受信するのに、専用の回線がいらない。

講師からのコメント: 後半のコストがかからない理由の部分の説明は抽象的であまりよくわかりませんでした。

・IP電話はインターネットという誰でも使えるデジタルデータ通信網を利用するから。

・ADSLなどの回線を使う場合、ADSL回線を使う主目的はデータ通信である。ユーザはADSLを使用するために月額いくらかの金を払っている。IP電話はADSL回線を利用するため、電話というか、データ通信に近いものになる。月額いくらかの金があるため、安く出来ると考える。

講師からのコメント: ほぼ真っ当な論理と思います。最後に「では何故 IP 電話によるサービス実現コストが、通常の月額固定料金に若干載せる程度で済んだのか」という問いが残っています。この答えは「ISP が持っている通信回線の設備費用は帯域幅(一定時間に通せるデータの量)に依存して高くなる傾向がある」状況の中で、「電話(音声通信)を実現するために必要な帯域幅は、通常ユーザにサービスしている帯域幅より遙かに小さい」ところにあります。たかだか 32Kbps 程度の通信量の増加は 20Mbps といった単位でのサービスを実現している ISP には大した問題ではないわけです。
(もちろん電話として実現するためには帯域確保以外にも他に設備投資が必要なのでしょうが、それでも音声通話に必要な帯域幅が相対的に低い、ということは大きなポイントです。)

・NTTの設備より簡易なシステムを使用するから。

・<中継型の場合>
 中継型の場合には、IP網を用いる事によって、交換機以降の電線や中間期などの設備が不必要になるため。
 <ADSL・光ファイバーの場合>
 ADSL、光ファイバーの場合には、それぞれの顧客の下に必要な機会があるので、中間に用いる交換機や電線の設備がいらないから。

・ひとつの回線で膨大な量の情報を早くいっぺんにやりとりできるので電話線などの交事費などが削減されているから。

講師からのコメント: はい、経路の共有による工事費の削減も、サービスインに必要なコストを下げるためには重要な点ですね。

・インターネットをする際のダイヤルアップ接続とADSLの関係のように回線自体が同じでも、より有効に利用するからIP電話は安くなる。

講師からのコメント: ADSL が Internet サービスとして安価に実現できた理由は確かに電話線という経路を共有・再利用したことにあります。 IP 電話は更にその上に組み込まれたサービスで、その意味でこのコスト構造は重構造になっていますね。 面白い指摘をありがとう。

・IP電話はインターネット回線を利用した電話回線システムである。安く出来る理由は、まさにこのインターネットシステムということではないだろうか。インターネット利用料金は固定性が主流であり、その制度を利用する事で、特に同じインターネット回線同士だと無料ということも実現できるのではないだろうか。ただし勉強不足ながら、何故、そもそもインターネットは固定金を払えば使い放題になるのか(出来るのか)については理解できていない。

講師からのコメント: この回答は非常に興味深いもので、注目しています。良い視点と思います。 インターネットの固定課金(低額課金)は、何故なのか、それ以外の選択肢はないのか、ということは今、多くの人が忘れてしまった重要な話題の一つだと思うからです。

・機材が特に必要ないので、製品にかかるお金のぶん安くなる。

・ネットワークは、全国どこにアクセスしてもかかる料金は一定で、IP電話もネットワークを利用したサービスなので、料金を抑える事ができる。