レポート:音楽ビジネスの可能性

音楽販売の展開としてどのような可能性があるでしょう?

講師から

例によって多様なことを考えて欲しかったわけで、ある意味満足できる回答が多かったと思います。 つまり余り類型的な回答はなく、皆いろいろ自分の価値観からなる答を出してくれているからです。 こういった未来の問題には正解はありません。 皆がいろいろ自分のアイディアを持ち寄ることが重要です。


受講生からの回答

全文、原文のままですので、誤字や途中になっているものなど多くあります。
  1. 音楽販売の新方法について色々考えてみましたが、結局すぐに複製する方法が発見されてしまいます。
    それほど強固なコピーコントロールやロックもすぐに解除プログラム上に出回り、WinyやMXなどで行き交うようになると思います。
    いずれほとんどの音楽データはCD・DVDなどを介さずネット上で販売・流通されると思います。後は色々考えられてまとまりませんでした。

  2. CDの販売は減少する一方だと思う。レンタルで十分だし、今や携帯で手軽にダウンロードしたり、パソコンでもとれるので、わざわざCD一枚買うのに1,000円も出す人も少なくないと思う。CD+アーティストの何かがついてるみたいに、買い手に対して何か得したような気になる感じの販売なら買ってもいい気がする。
    講師からのコメント:
    CD 以外の音楽関連商品の販売はどうなるでしょうね。

  3. 音楽販売は、今後商売として成り立たせていくのは難しくなってくると思います。音楽は今、データとして扱われている為、個人間での流通が絶えない。だからといって、法で厳しく取り締まっても一人一人を監視できるわけではないと思うので難しい。
    音楽をデータとして扱ってしまった以上、現在の状況を受け入れざるを得ないと思います。そして、受け入れた上で現在の状況にあった音楽販売の形態を考えれば良いのではないかと思います。

  4. 音楽データに限らず、デジタルコンテンツの著作権問題は多いが、その多くが創作者と利用者双方の権利をどこまで守るかという点だと思われる。創作者側の権利を守りすぎる、例えばCDのコピーを不可能にした場合は利用者の利用の幅が狭くなり、それまでと同じ値段で買うにも拘わらず同じ価値がなくなってしまうことになるのでそのあたりのバランスが難しいと思う。権利を主張し続けるのではなく、双方の歩み寄りが技術の発展には大事なことだと感じた。
    講師からのコメント:
    その通りなのですが、問題は僕らが「良心の国」に住んでいない、ということでしょうね。 その歩み寄りを、金銭的な歩み寄りとして実現しなければならない所が最大の難所なのでしょう。

  5. いくら音楽がデータであっても著作者の利益の下げることは、あってはならないと思う。音楽を複製することには反対です。データの中にも広くみんなに共有すべきものと音楽や映画のようなお金を動かすもので共有すべきものではないものがある。やはり、コピーコントロールCDの普及がいいと思う。
    講師からのコメント:
    DVD はコピーできないような仕組みを入れて流通させる、という方法を採りました。 CCCD が良かったか良くなかったのか、という議論は、この先 DVD にのっているコンテンツが ITunes Music Store のようにオンラインデータ販売されるようになったら(つまり iTunes Video Store サービスが可能になったら)、そこで検証されるでしょう。
    新しくオンライン販売に舵切りをするのが良いのか。それともCDという流通形態を続ける方が良いのか。

  6. 音楽データの個人間での流通は個人的には阻止してほしくないけど、阻止した方がいいと思います。しかし、僕はメーカー側が金を出してCDから音楽をとるのを完全にできなくするようにすべきだと思います。iTunesのようなデータ販売は可能性はあると思います。なぜならデータだと音楽を整理しやすいからです。それにパッケージ代もいらないし、歌詞を別売りにすれば結構安くなると思います。
    講師からのコメント:
    何故可能性があるか、ということについてのもう少し構造的な側面からの分析があると良かったかもしれません。

  7. 音楽データの個人間での流通は全て阻止するのではなく、流通を許可できる明確な判定での制限をかけるべきだと思います。
    CD販売はデータでの音楽販売と共存できると思う。なぜならデータというのは現実に物として存在しないけど、CDならば物として扱えるというデータとは違った利便性があると思うし、データでの販売はネットワークから簡単に手に入れられる利便性があり、CDとデータの両方に別々の利便性があるからです。
    講師からのコメント:
    この可能性を考える時、極論すればCD からデータが無くなった場合にも売れるのか、ということを考えてみるのが良いと思います。

  8. 私もよく音楽を聴くのですが、最近はデータ交換が容易になったことで、友人ともよくMDにコピーした曲を貸し借りします。
    先日、友人とも話したのですが、このように曲が簡単に「買わなくても聞ける」ようになってきたから、日本のJ-popはすたれてきたのではないか、ということを話しました。(私は全てが“すたれている”とは考えませんが)今の法律は妥当だとは思いますが、やはりもう少し規制をかけないと、文化的発展の大きな壁になりそうで仕方有りません。
    講師からのコメント:
    買えばすたれない、という方向での理由の説明が欲しかったです。何故でしょう?

  9. 音楽データの個人間での流通は、阻止しなくてもいいと思う。CDを買う人は、音楽データの販売があったとしてもCDを買うと思う。
    講師からのコメント:
    CDを買う人の「一部」は、音楽データの販売があったとしてもCDを買う、のではないでしょうか。 全部の人達が同じように買い続ける、ということはないでしょうから。

  10. 日本でi-Turesなどは、流行しないと思う。アメリカとちがいネットとふれ合っている人が少ないし、日本の人は「情報」だけにお金を出すという価値観があまりない。
    だから、レンタルCDという「モノ」を借りるというスタイルが定着したんだと思う。
    講師からのコメント:
    ある意味レンタルというのは手元に何もモノが残らないわけですから、かなり「モノ」から離れて情報の価値だけを買う人達なんだと思いますが、どうでしょう。 確かにレンタルが流行らない文化圏では、音楽データ販売は流行らないだろうと私も思いますよ。

  11. 音楽は結局データになり、今やCDで音楽を聴く人がなくなっているのだから、販売で使うCDのケースや表紙などはムダなコストになると思う。さらに最近はPCに保存することでいつでもすぐに聞ける状態になっているので、音楽の配信はインターネットからのダウンロードだけで十分だと思う。
    CDでもパソコンで聞いても音楽に差はないのだから。
    講師からのコメント:
    ええ。つまりCD で聞いてもそれ以外のモノで聞いても品質に相違が無くなってきた、逆に言うと1980年に規格が出来たCDと同じ程度の音質を実現できる量のデータを、インターネット越しに短時間で転送できる程度にネットワークが高速になってきたことが CD にもともと設定されていたアドバンテージを薄めた主原因なのですね。
    CD 一枚 650MB、これは 1980 年代のコンピュータにとっては大変大きなデータ量だったわけですが、2000 年代にはもうそうではなくなったわけです。なおハードディスクは 1990 年代はじめに、ようやく 20MB (GBではありません、MBです)の製品が 15 万円(1.5万円ではなくジュウゴマンエンです)程度で出ました。いまの 1/1000 程度ですね。家庭用の通信機器の速度は 2400bps 程度(2.4Kbps)でした。これも 1/1000 以下程度ですね。この頃ならCDにデータを詰めて販売することに充分な合理性とアドバンテージがあったわけです。

  12. いくら新しいコピーガードを開発しても、それに対応する新しいリッピングツールが開発されてしまうから意味がないと思う。(CDでもDVDでも)売ったCD一枚一枚のデータの中にシリアルコードを入れて、買う時にそれを登録させるとかしたらいいかもしれない。着うたフルとかのデータ販売の可能性は十分あると思う。

  13. 音楽データの個人間での流通は阻止すべきだと思うが、実際にどんどん発展する技術の中で完全に阻止するのは難しいと思う。
    着うたフルのようなサービスは、今後も携帯電話が発展すると思うので、もっと使いやすくしてよいと思う。

  14. 阻止すべきではないと思います。個人間でいくなら貸し借りによってトラブルも起きる可能性もあるので、個人が購入したモノはその人に所有権があるのでどう扱っても構わないと思う。
    また、CD販売も未来はあるはずである。コピーしたCD等はたしかにデータ上は同じものかもしれないが、ジャケット、歌詞カードなど完全に同じにするのは難しい。またそれを欲しがる人もいるので、完全に断たれたりはしない。また、コピーするにしても元がないといけないので、元になるだけの枚数は確実に売れ筋は上下するかもしれないが、極端に悪くなることはないと思います。

  15. 音楽は個人間の交換で、手に入ってしまうので欲しい曲があったとしても、手軽にタダで手に入れることが出来る。そのため、CDを買いに行く機会が減ってしまう。
    この個人間の取り引きを抑制しない限りは、音楽業界の売上は伸び悩むと思う。その中で、iTuresや着うたフルは、手軽に音楽を手に入れられるし、携帯は誰でも持っているから、対象者が多い分、売上はいいと思う。音楽をCDを買って手に入れるという時代が過ぎていくように感じる。

  16. 空のCD-ROMを持ち、欲しい曲を店に行きコピーをしてもらう。これにより曲のデータを店でしかコピーできなくさせる。
    最終的にはCDは販売はなくなると思う。

  17. CDはコピーされるのが必然であるなら、逆にそれを活かした攻め方をすべきだと思う。コピー用とジャケットから全て付いた完全版の2つを常に用意して売るのはどうだろうか?当然コピー用のものは完全版よりも値段を安く、制限も全て取っ払う。逆に完全版の方は値段が高いが、高音質、制限はかけまくるという方向で。今でも限定版と通常版という売り方をしているように、CDのデータ以外の部分に差を付けて売るやり方でカセットテープのように本当に欲しい人は本物を買うという状況を作るべきだ。

  18. 今後、音楽を販売していく上で、重要なキーワードが違法コピーとファイル共有だと思う。
    違法なコピー術で、CCCD等のコピーコントロールを破り、ファイル共有で全体に配布されてしまう。それで、CDの売上が落ちる。だがそうではないと思う。昔見たCDの売上グラフを見ると、ファイル共有が進んでいるのに対して、CDの売上も上がっている。それに、本当に自分が好きな曲とかなら、CDを実際に買ってジャケットを見たりして視覚的にも楽しむはず。だから、ネット上で曲をデータ化して販売するということは、ファイル共有を進めるようなことなので、進めるべきじゃない。
    違法を取り締まり、CDを販売していけばいいと思う。

  19. 音楽販売はこれからも進めていくべきだと思う。ユーザーが求めるなら、それに応じてビジネスをするべきだと考える。音楽のダウンロードだと何曲あってもハードディスクという限られたスペースにしか入らないので、部屋にCDが散らかるということがなく便利だ。CD販売は別に音楽販売にはない特典をつけることで新たなビジネスが展開できると思う。

  20. 私はもうコピーコントロールはすべきではないと思う。
    iTunesのデータ販売に移行すれば、コピーもおさえられるかもしれないが、CDプレーヤーぐらいしかもっていない人からしたら不便で仕方ないので、これからは着うたなどの携帯との連動がカギになると思う。みんながプレイヤーを持っていて手軽にダウンロードが可能だからである。

  21. CDをコレクションで集めている人もいるし、これからは音楽以外の部分でも売っていかないと売上は下がっていくと思う。例えば携帯ストラップをつけたり、ジャケットがおしゃれだったり、歌詞カードが飛び出す絵本ぽくなったり、でもそういうのはそのアーティストのファンであったりしないと効果は薄いので、やはり売上は下がっていくと思う。
    講師からのコメント:
    こういった意見がこのところの学生さんからは比較的多く聞かれるようになりました。 皆冷静にモノと情報の価値を仕分けて買ってるんだなあ、と思います。 良いセンスだと思います。 既存の業界の人が、全体としてこうした層を客層として育てるべきだと思うのですが、なかなかそうはなっていないように感じます。このギャップが問題の根元だろうなと思うわけです。

  22. 人によるが、CDを買ってこそ歌手の歌を買った。という何か満足感があると思われるので、CD販売をやめるべきではないと思う。
    一方では、わざわざ買いに行くのがめんどうな人がいるだろうし、ダウンロードなら好きな曲だけとれるので安くすむので、これからもやっていくべきだと思う。

  23. 音楽データの個人間の流通をコントロールするのは、もはや不可能。極端な話、CDの貸し借りまで取り締まらなくてはならなくなってしまうから。そこまで取り締まることは、システム的に不可能だと思われる。今後はテレビの放送権(主題歌として利用etc)で利益を上げていく方が確実に利益は見込めると思う。ヘタにコピーコントロール等のシステムにお金をかけても外付けの機器ならスルーできたりもする。ユーザー離れの可能性も含まれる。P2Pに走るユーザーも多いと思われる。
    講師からのコメント:
    CDの貸し借りとP2Pファイル交換とは、その規模と広まり方の速度に圧倒的な差があります。 だから音楽業界は個人間のCDの貸し借りは問題にしないのですね。 (あなたの CD はどんなに友達間で回されたとしてもせいぜい何週間かで 20 程度のコピーしか作らないでしょう。しかし P2P ファイル共有では、たった一枚のCDのデータが 1 万のユーザに一日でばらまかれる状況にあります。これが問題なのです。)

  24. 音楽データの個人間のインターネットを通した流通はほとんど違法にすべき。着うたフルのようなサービスをたくさん広げて、違法なデータ交換の罪を重くすればいいと思う。
    CDの値段を下げれば違法コピーも少しは減るのではないかと思う。
    違法コピーを犯罪だと広く知らせるべき。
    講師からのコメント:
    啓蒙や教育には賛成しますが、余りに多すぎる人達が犯罪者となってしまうような法律は一般的には受け入れられませんね。また、少し極端な話をしますが、それほど厳しくする目的は何でしょう?音楽業界を守るために、でしょうか?
    話はそう単純な構造をしていないように思えます。

  25. 個人間での流通は阻止すべきであると思う。所詮人が作ったモノなのだから、人が破ることは出来るのだろうがそれでも何らかのプロテクトはすべきである。最初のウィルスのように、コピーしようとすればウィルスに感染し、ワクチンが欲しければソニーに連絡してくださいというふうになるように…。
    それか、やはりCD形式の販売を変えるべきか。しかし、ダウンロード形式にしてもコピーできるし、どうすればいいのだろうか。

  26. 音楽データの個人間の流通は法律で規制すれば一応減ると思います。ただやはりウィニーのような物ができれば完全にコピーを阻止することはできないでしょう。しかし、我々個人ユーザーはやはりお金をかけずに多くの音楽データが欲しいと思っているので法律で規制しておかなければ、もはやCD販売の利益は不安定なものになると思います。
    データ販売業は、製作者側に配信側がお金を払うという協力のもとに成立は可能であり、もし製作者側がコピー、配信を全て禁止すれば裏で配信する者が必ず現れると思いますので、一定の譲歩が必要と思います。
    製作者も、著作権という権利を使って、配信料(使用件)を配信側からとれば利潤を得る上、あらゆる音楽データを配信可能な大手の配信サービスを持つ企業にデータ使用を許可しておけば、ユーザーがその音楽を買ってくれる可能性が高くなり、知名度も上がると思います。製作者側と配信側の相互協力が理想だと思います。
    講師からのコメント:
    細かな所はともかく、利害衝突がありそうな所の双方にとって許容可能な着地点が見つかるはずだ、という考え方は現実的で良いと思います。地味なようですが(短期的な)未来はそういうところにあるのだと思います。(もう少し長期的な未来には哲学が必要ですが。)