情報科学入門 (2024年度秋学期 木曜日1限)

[概要と目的] - [注意] - [資料]

講義の概要と目的

シラバスより
コンピュータの基本原理や計算手法などの各技術についてその機構や発展過程を追うことで、現在のそれらの応用について理解し、また将来の展望を得る。 現代ではいずれの技術も独立して存在することは無い。それぞれの技術について点で取り上げること無く、それらがどのように組み合わされ、いかにして我々の社会や日常生活を支えているか、俯瞰的な視点を持つことが重要である。 特に情報分野の技術は多くの従来技術を複合的に組み合わせ、また幅広い分野で応用されている。これらについてできるだけ具体的な事例をとりあげ、科学・工学そして社会とのつながりといった多くの側面から検討したい。


履修上の注意

評価
授業期間に何度か提示されるレポート課題による(100%)

資料

資料はMoodleに集積してある。

各回は以下の内容で計画している。(シラバスに同じ)

1. コンピュータの歴史・ハードウェアの発達
講義全体のガイダンスを行うとともに、まずハードウェアの発達を軸にコンピュータの歴史を振り返り、今後の講義の出発点とする。
2. 最初のコンピュータ・アルゴリズムと自動データ処理
ENIAC 等最初期のコンピュータシステムを紹介する。またコンピュータが行っている処理とはデータに対してアルゴリズムを自動適用であることを理解する。
3. ノイマン型コンピュータ・ハードとソフトの分離
現代のコンピュータのほぼ全てはノイマン型であることを把握し、それがハードウェアとソフトウェアの境界を明らかにしたことを理解する。それによって前回学んだコンピュータの自動処理機能の実体がソフトウェアによるアルゴリズム実行であることが分かるだろう。
4. デジタル表現・bit, Byte・デジタル化による利益
アナログ表現とデジタル表現の違いを学び、デジタル化による利益について考察する。コンテンツの違法コピーなど、多くの社会的な事象の根源がここにあることを理解する。
5, 6. 符号化・データ表現・互換性・囲い込み
多くの情報がいかにしてデジタルデータ化されているか学び、それによって互換性や囲い込みといった日常的に我々が直面する問題が生じていることを理解する。
7. 機械計算・二値論理・論理回路
コンピュータが電子回路だけでいかにして計算を行っているかを理解する。知性無き機械による自動計算がコンピュータの本質であることが分かるだろう。
8, 9 素子技術の発展・半導体製造業
素子技術の歴史を追い、その頂点にある半導体の性質を理解することで現代の超ハイテク産業である半導体製造業の状況を知り、今後しばらくのコンピュータの発展を予測する基礎とする。
10. メモリの発展・新しいコンピュータへの展望
メモリ技術はいま転換期にあり、大きくコンピュータのすがたが変わる可能性がある。その歴史を追い、将来を展望する。
11, 12. インターネットの構造と歴史
現代のコンピュータ利用はインターネット利用とほぼ同義になりつつある。発展史を追いながら、今後の展望を概説する。IoT (Internet of Things) など最新の話題をできるだけ取り込みたい。
13. システムソフトウェアの役割・機種依存性
多くのコンピュータシステムではシステムソフトウェアとアプリケーションによって役割分担が行われている。その歴史と理由を追いながら、それが機種によるソフトウェアの互換性などと直結していることを理解する。
14. 機械語・高級言語・プログラムの実行
ソフトウェアがハードゥエアの上でどのように実行されているのか、その内部構造を理解する。それによって処理高速化の限界や、パッケージソフトウェア販売モデルの仕組みについて知ることができるだろう。
15. オープンソース・ソフトウェア
1990年代から、従来的ソフトウェア販売モデルと大きく異なるオープンソース・ソフトウェアと呼ばれるソフトウェアの開発・利用モデルが広まり、いまでは多くの分野で無視できないものとなった。その概要を把握するとともに、現在の知的財産のあり方についても検討する。

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Yutaka Yasuda (yasuda@cc.kyoto-su.ac.jp)