1.3 なぜ miniBBS ではいけないのか

クラス運営に用いる掲示板システムに miniBBS のようなよく流通しているものを使ってはならない。理由はその目的の違いから、教員と学生間のトラブルを発生させる、またはそのリスクを増加させるからである。

盛り上がり重視

一般的な掲示板は「ときどき覗きに来る人を相手に、話題を盛り上げる」ことが目的で設計されている。そのため、もっとも盛り上がっている(頻繁に投稿のある)スレッド(等)を最も目立つように配置する。すなわち投稿の少ないものは分かりにくいところに置かれる。

しかしクラスにおける話題の重要度は盛り上がりとは直接関係がない。久しぶりに掲示板を覗いた受講生は、最近の目立つ話題だけ読めばよいわけではなく、クラスの流れを時系列に追う方が望ましい。そして教員は目立つ話題、目立たないものに拘わらず、全ての投稿に目を通す義務がある。

未読管理

特に教員にとって、全ての記事に目を通すことは重要な義務である。miniBBS のような「通りすがりの人に、よりヒトコト残していって貰いやすい状況を用意する」タイプのシステムは、最も盛り上がっているものを前に出せばそれで良いが、教員はむしろ「非常に久しぶりに投稿された」マイナーなスレッドに注目しなければならない。

そのため未読記事がどこにあるか、一目で分かるようにしなければならない。つまり login し、利用者ごとの既読管理をするシステムが必要になる。

メンバー管理と匿名性

クラス運営のための掲示板には匿名性が必要である。何百人もが登録されているクラスの掲示板で発言することが個人情報の大宣伝になってはならない。出席代わりの感想文の投稿が、事実上のクラス名簿になってはならない。

しかし login する掲示板システムの多く(ほぼ全て)は匿名性をもっていない。理由は登録名(ハンドル名)を実名にしなければ良いからだ。だがクラス運営では発言を成績に直結しないような場合でも、その発言が誰のものであったか、少なくとも教員には明確でなければならない。理由は差別発言やフレームなどのトラブルに対応するためである。

学生という年代から見て、その掲示板では一般的にコミュニケーションの場で起こりる全ての問題が容易に発生することを外すわけにはいかない。クラス掲示板ではメンバー管理と匿名性を両立させる必要がある。


Yutaka Yasuda (yasuda@bakkers.gr.jp)