1.2 なぜ WebCT ではいけないのか

WebCT 等市販の LMS ツールにもレポート回収の機能はあるが、レポート回収のためにこれらを導入するのは間違いである。理由は利用者がそれに適さないからである。

設計時点で、このシステムは大学初の大規模に利用される教育支援ツールであった。これを使ってくれる教員利用者がどれだけいるかは全く未知数であり、むしろまずこれから増やす段階にあった。WebCT 等市販の LMS は市場での競争のためにいわゆる満艦飾ソフトウェアとなっており、レポート提出だけを望む教員にとって操作上の敷居が高すぎる。

大学コンソーシアム京都での調査などで、レポート提出が教育支援でのコンピュータ利用の需要、第一位であることが分かっている。そして第二位の掲示板等がそれより圧倒的に低い需要(利用度)であることも分かっている。つまり、大学初の教育支援システムはレポート提出であるべきで、それより遙かに利用者数が少ないと見込まれる他の機能のために敷居を高めて利用者の誘導を困難にすべきではない。

なんとなれば課題提出システムの利用開始から 4 年を経た 2006 年ですら、そのサービス停止という強制力を背景にしても満艦飾的 Moodle への移行に難色を示し、利用を諦める教員が出るくらいである。自分たちの状況をよく見て、理解しなければならない。


Yutaka Yasuda (yasuda@bakkers.gr.jp)