9.2 ファイルとバッファの関係

Emacs でもこのファイルとメモリの関係を踏襲して作業が行われます。このメモリの部分にあたるものを Emacs の世界ではバッファ (buffer) と呼んでいます。Emacs でファイルを編集する場合、まずバッファにファイルの内容を読み込み、それを編集し、バッファの内容を書き戻すわけです。

ファイルからバッファに読み込む

まずファイルからバッファに読み込みます。この状態からユーザは内容を修正しはじめます。この例では「12345678」と書き足すことにします。ファイルには memo.txt というファイル名がついており、それを読み込んだバッファには memo.txt と同じバッファ名が着けられている点に注意しておいてください。

バッファからファイルに書き出す

書き足された内容を含んだバッファの内容をファイルに書き出します。これによってファイルに修正結果が反映されました。もちろんファイルに書き出さずにバッファを破棄すれば修正内容は全く反映されないままになります。これが通常のファイル編集の作業となります。

バッファとは直訳すると緩衝装置にあたります。つまり衝撃など何かの動きを和らげる、緩やかにするものです。そのために一時的に何か流動させているものを蓄える場所のことをバッファと呼ぶことが(コンピュータ分野に限らず)あります。「大雨の時には何段にも設けられた貯水湖がバッファの役割を果たす」といった具合いです。 なんとなく Emacs のバッファの意味(位置づけ)が見えてきませんか?


Yutaka Yasuda (yasuda@bakkers.gr.jp)