10th - シンポジウムの話題三つ

昨日の記事に紹介したように、2013 台灣SDN國際論壇 (2013 International SDN Symposium Taiwan) が開催された。 幾つか個人的にグッときた話題についてとりあげてみる。
例によってとても細かい話になって申し訳ない。
先に少しだけ全体的な話を。
とても重要なことだけれど、参加者数が半端なく多かった。ざっと 300。あるいは 400 か。(主催者からの公式数字が出るかな?)
ビデオオーバフロールームを用意するほど。しかもこれ 1000 元(4000円ほど)の参加費が設定されている。ちょっとすごい。 Dan Pitt 初めての訪台、Google の DC 間接続事例のセッションなど目玉があるとは言え、まあ盛り上がっているのだろうと思う。台湾で初めての大きな SDN イベントに立ち会えたわけで、その点とても貴重な機会だったと思う。
さて、では細かい話へと。
MediaTekの Hybrid Switch ASIC 個人的なヒットはまずこれ。MediaTek はシリコンバレーにあるファブレスのシリコンメーカー、それも WiFi やメディア系チップなのだそうだが、そこがレガシースイッチングと OpenFlow のハイブリッドスイッチ ASIC を作るよ、という話。最近にできた ONF の Chipmaker’s Advisory Board に入っており、どえらいお金も集めて本気度がとても高い。
ハイブリッドチップ、つまり従来的 L2/L3 スイッチングと OpenFlow のどちらにも対応するスイッチ ASIC を用意することで、既存のネットワークシステムに OpenFlow の機能を「追加」的に導入することでスムーズな移行を果たそう、というアイディアは最初期の OpenFlow の論文にも登場する「とてもよく聞くもの」だ。が、現実にそういう製品を僕は見たことがない。 スピーカーだった Joe Lin に聞いてみても「知る限り無いと思う」と。
ようやく本当になるのか、今後に期待したい。
SPIRENT の PlugFest の話 PlugFest は OpenFlow スイッチ機器の相互接続性(インターオペラビリティ)を確認する集まり。Interop の Shownet みたいな感じか。そこでの経験をもとに、SPIRENT がテストの重要性について話していた。
そうそう、ようやくそっちの話が出てきたか、という感じ。ずっと「プログラマにとって安全にネットワークアプリを開発できる仕組み」「オペレータ(管理者)のトラブルシューティングあるいは調整(チューニング)を助ける仕組み」が必要だと思い続けている僕の視点とかなり合う話。午前の panel discussion に質問の形でその点を出してみたところ、午後だったこの SPIRENT のセッションでテストの話をするときに、ちゃんと「午前に質問があったよね」とmention してくれていた。
彼らはまたソフト開発のためのテスト環境を構築していた。普通のソフト開発同様、リポジトリにコードを push すると、それを使ったバージョンをビルドして、リグレッションテストに掛ける。馬鹿馬鹿しい話だが、これがネットワークではできていなかった。(そう思っているのだけれど、何か良いツールがあるようなら教えてください。Volt はどうなのだろう。どこまで自動テストのようなことができるのだろう。)
それだけではまだまだ僕が必要と考えるものには足りないのだけれど、しかしまず組織的な取り組みの最初の一歩だと思う。前回(2012 Fall)の PlugFest は OpenFlow 1.0 ベースだったけど、次は 1.3 だ、と言ってる。またそのときにでも各種の報告があがってくると思うので、ちょっと注目したい。(実のところ PlugFest は見ていなかった。)
Pica8 の vASIC Pica 8 の James Liao。途中、スライドの端っこにヒュッと vASIC と出てきた。僕がボケていて聞き逃したかも知れないが、まともな説明はなかったような。でも知りたい。とても知りたい。会議の後に James と話す機会があったのに、その時はすっかり忘れてしまって(いつもながら)鈍くさい私。
次の機会では忘れず聞こう。
たまたまシリコンバレー会社のセッションについてばかり取り上げたが、ローカルのセッションがほぼ中国語だった(通訳無し)ことをお断りしておく。

References