19th - 異種 CPU への対応

昨日のニュースはちょっと驚いた。Interface Mastersから Trident II を使った OCP チャーターに基づくデザインのスイッチが出た、というものだ。Trident II で 48x10G + 12x40G = 960Gbps というだけならさほど驚かないが(それでもまだ少ないのでちょっとオッと思うけど)、この製品はコントロール CPU として x86, MIPS, PPC, ARM の四種類が選べるという。それは凄い。
ただちょっと気になるのは、Key Featuresの記述では、Modular Control processor supporting: として X86 と MIPS しか乗っていない点だ。Power と ARM はどうなった。
他にも 1U form factor と書かれていたりして余り信用できない部分はあるのだけれど、まあ二種類だったにしても複数対応するというのは珍しい。

source: Interface Masters
異種 CPU 対応 Yahoo! Finance の記事 "Interface Masters Announces 1.28Tbps OCP Proposed Switch Based on Broadcom's StrataXGS(R) Trident II" によれば、コントロール CPU は quad-core x86 AMD Embedded G-Series SOC だそうで、恐らくは このあたりの GX-416RA (no GPU, 1.6GHz, 15W) あたりか。
ただ僕としては x86 を採用したことではなく、複数 CPU に対応した、ということに一番に注目してしまう。「SDNによってスイッチは標準化され、commodity になる(だから我々の vanilla なスイッチを買ってよ!)」といった路線のベンダーで、複数の CPU アーキテクチャに対応した(ドライバをちゃんとポートした)ところ、僕はパッと出てこない。それを最もやりそうなのは Cumulus だったりするのだけれど、Cumulus も実際対応製品としては Power のものしかないように思う。Pica8 もずっと Power だったりする。
つまり僕の印象としては、スイッチ業界?では異種 switch ASIC 対応と異種 CPU 対応がなかなか進まない。もちろん今までは進める理由が希薄だったのだろうけれど、Commodity 化を推進する以上その必要性は高まっている(はず)。そしてそれほど困難で無いはず(と勝手なことを言う)なのに、実際問題なかなか進まない。だから Interface Masters のような会社から異種 CPU 対応をやった(らしい)というニュースは僕に幾らかインパクトがあった。へええ、ようやくこれで進むのかな、と思ったりして。

補足

なお、複数 ASIC 対応をやっているところとして僕が知っているのは Arista で、ここは(僕の視野では)例外的といっていいくらい異種 ASIC 対応を進めてきた。そして彼らはパワフルな x86 に普通の Linux を載せており、初めから異種 CPU をやる気が無い(その必要性がない)。しかし Arista はこの「スイッチは vanilla なものでいいよね!」とはまったく異なる路線を走っている。
また Quanta QCT も T3048-IZ1 という型番で Intel の ONP デザインのものを出しており、その意味では Power と x86 の異種 CPU 対応をしている事になるが、これは Intel が FM6000 + Xeon + Wind River でやっている製品で、やはり「vanilla で!」な路線ではない。なお Intel はほぼ同じ構成で Facebook のチャーターに応えている。

追記(2013.12.19)

不勉強にて、このスイッチは Broadcom が OCP charter に応えて作ったスイッチそのものであることを知らなかった。偶然今朝 Broadcom の仕様書を見て発見した。失礼。
さてこうなると OCP あるいは Broadcom がこれで何をどこまで Open にするつもりか、でかなり話が変わる。Charter ではドライバなどは公開対象だが、さてさて。
しばし要 watch な感じだ。

追記(2014.2.20)

もう一つ、ようやく Quanta の web に T3048-IZ1 の製品詳細、データシート等が掲載されたようだ。

References