昨年度の舩による卒業研究の改善版である。主な改善点は 1) 3D グラフィクスの導入 2) リアルタイムなパケット流量の提示 3) モジュール構造と REST インタフェイスによる拡張性あたりか。可視化したい情報をモニタリングプログラム群によって収集し、これをサーバに蓄積して可視化プログラムが順次取得しながら描画する構造である。通信に関する何か他の情報を可視化したい場合は、不足する情報を収集するためのモニタリングプログラムと可視化プログラムを追加することで、全体的なシステム構造を変えることなく実現できることが大きなゴールである。およそこの目標に向けて開発することができた事には拍手を贈るが、それだけにこれを実現するところで止まってしまったのは惜しい。
== note
この研究はもともとセキュリティ的な視点だけではなく、トラフィックの内容をより良く把握することで出来ることは何かと考えながら進めたものである。舩の研究をそのまま実現するもの(本研究)以外に、携帯通信量の管理(由尾の研究の本来の形)、DNS 情報から見るネットワーク構造の可視化、HTTP など代表的なアプリケーション・プロトコルのミクロ的な可視化(主として教育目的)などがはじめの段階で挙がっていた。由尾ともう一人がこの枠組みから外れて、最終的に若原・田中で舩の研究をそのまま動作させるものだけが残った格好である。更に若原・田中もそこで止まり、新しいことが加えられなかったのは残念だった。せめて動かしてから得られた知見を元に改善するなり、malware を試すなりできれば良かったのだが、それもかなわず時間切れとなった。
なお、今年度も取り組むテーマについて全体で揃えてやるか、各自で提案するかで右往左往した。去年度でひどい結果になったためにはじめ強制的にこちらで決めるとして進めたがどうしても作業量が上がらない。年々卒業研究は悲惨なことになっている。