8th - NFV とインテリジェント NIC

2013/11/19 に vSS Osaka があった。 昨日に続いて「NFV の姿は僕にはまだ見えてこないのだけれど」が前置きに付くが、ひとつ面白い話題があった。 Solarflare の FPGA 搭載 NIC だ。
Solarflare Solarflare についてはパッと web を捜しても余り資料が無い。 とりあえず日本では ELSA が代理店のようで、そこに良い資料があった。 高性能な 10G/40G NIC ボードを提供しているが、この製品の真価はむしろソフトウェア、つまり ApplicationOnload Engine (AOE) Firmware Development Kit (FDK)にある。 この資料のなかの「OpenOnload アプリケーション高速化ミドルウェア」によると、なんと独自のファームウェア、ドライバ、ミドルウェアを用意して、OS カーネルを通さずアプリケーションが直接ネットワークハードウェアにアクセスするという。これは大技だ。そりゃ負荷も下がるだろうよ。 なおアプリケーションへのインタフェイスはソケットで出すように図には書かれている。すごい。
FPGA 搭載 NIC SFA6902F さらにすごいのは FPGA を搭載した NIC が用意されており、ここの FDK と連動するアプリケーションモジュールを FPGA に埋め込めるという。 ここまで来るとサーバCPU に渡さず、NIC 上でかなりのことができる。routing のような単純な処理なら NIC だけで完了し、サーバ CPU に一切の処理を出さないだろう。
僕が注目しているのは、そうした処理を含む L4-L7 の分散アプライアンスへの適用、だったりする。
単純な SDN インフラの中ではそうしたいわゆる「middleboxes」は居場所が無い。 そのため従来現場のネットワークを支え続けてきた L4-L7 アプライアンスは急速に「ソフト化」を果たしつつある。
電力効率 しかし完全にソフト化を果たし、従来 middleboxes が果たしてきた機能のすべてをクラウド上のノードに配置された仮想アプライアンスが処理するようになったとしたら、そのための総オーバヘッド、つまり必要となる電力消費は無視できない領域にくるのではないか。 いま、NFV とかけ声はかしましいが、果たして本当に NFV が普通になったのであれば、直撃でその電力効率が問題になるのではないか。 そのとき Solarflare のようなインテリジェントな NIC などのハードウェアによるオフロードが注目されるのではないか。そんな予想をしてしまう。
(特別なハードウェア資源に依存するようでは仮想化した意味が無いと言う人も居るかも知れないが、昨今のクラウドシステムでは specific なハードウェア資源をもつインスタンスを提供するサービスが幾らも存在する。)
最後にもう一つすごい、というか、大きな問題がある。価格だ。なんと Amazon では $8,800 で売られていた。 需要が少ないうえに、この種のボードには HFT (High Frequency Trading, 高速金融取引)という金に糸目が付いていない市場があるからなあ。。 ちょっと気楽に手を出すようなものでは無いらしい。それだけが残念。

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